FRBが「ハト派」だなんて、ぜったいに信じるな。円安はまだ終わらない?
トウシル / 2021年7月16日 9時47分
FRBが「ハト派」だなんて、ぜったいに信じるな。円安はまだ終わらない?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは110.40円
↓下値メドは109.35円
米国でハンドサニタイザー(携帯用消毒スプレー)が、品不足から一転して大量品余り
15日(木曜)のドル/円は「円高」継続。高値110.09円、安値109.71円、1日の値幅は0.38円。
この日は、 109.94円からスタート。上値は重く、日本時間夕方に109.71円まで下押し。欧州時間に110.09円まで反発するも110円台にはとどまれず、終値は109.83円(前日比▲0.11円)。
パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長の議会証言の内容が期待ほどタカ派的ではなかった、という理由で米10年債利回りが低下、そしてドル/円は下落しています。
この日の米10年債利回りは一時1.3%を下回り、1.29%付近まで低下しました。多くの投資家が2.0%を目指して上昇すると予想していた米長期金利が低下したのはなぜか?その原因のひとつにデルタ変異株ウイルスの急速な感染拡大があります。米国では先月初めから 1日の新規感染者が ほぼ1万人で維持されてきましたが、7月になって約4.8万人へと急増する日も出てきています。コロナ感染再拡大による経済再開の遅れ、あるいは景気回復の尻すぼみが、FRBの金融正常化(引き締め)への転換を遅らせるとの見方につながっています。
とはいえ、パウエル議長の議会証言は、それほど弱気だったのか?
米国の6月CPI(消費者物価指数)が13年ぶりの高値をつけるほどインフレ傾向が明確になっているのに、緩和縮小に関する新しいコメントがなかった、というのが投資家には不満だったようです。しかし、原稿は事前に準備されていたわけで、直前に発表されたCPIの結果が反映されていないのは仕方がない。
今月のFOMC(米連邦公開市場委員会)は27、28日に開催されます。パウエル議長は、今月のFOMCで緩和縮小について討議すると証言しています。その時に、この1カ月間で発表された最新経済データを精査して政策方向を決定するはずです。CPIだけではなく、PPI(卸売物価指数)も強かった。ベージュブック(米地区連銀経済報告)も前向きな内容。ニューヨーク連銀製造業景気指数は記録的高水準となっています。そして、今夜も重要な経済指標が発表されます。詳しく次ページをご覧ください。
今日の注目通貨は、下落が目立つ豪ドル/円です。
主要指標 終値
今日の一言
数えきれないほど悔しい思いをしてきたけれど、その度にお袋の「我慢しなさい」って言葉を思い浮かべて、なんとか笑ってきたんです - 手塚治虫
夏のYeah !!
今夜は6月の米小売売上高の発表があります。米国の個人消費は、米国のGDP(国内総生産)の約70%、世界全体のGDPの約17%を占めています。個人消費の動向が米国景気、さらには世界景気全体に与える影響が大きいため、小売売上高は、とても注目度の高い指標となっています。
5月の米小売売上高は、前月比▲1.3%と大幅に下落しました。6月の予想は前月比▲0.5%。これは、 米政府からのコロナ特別給付金が支給された最後の月の3月に小売売上が急上昇(+9.7%)したことの反動。5月と6月は、まだギャップを埋めることができずに数字的に苦戦しています。また移動制限の緩和で、消費者がモノ(家電や家具)からレジャー(野球観戦)などへより多くのお金を使うようになったせいもあります。それに現代の賢い消費者は、ネットで比較してから買うので、リベンジ消費が強まっているといっても、高すぎると思う商品には手をださない。
小売売上高が悪くても、個人消費が悪化しているわけではない。実際はその逆で、ワクチン接種がさらに普及して観光業が復活するならば、またRTO(リターン・トゥ・オフィス)が促進されるなら夏から秋にかけて、一大消費ブームが起こるといわれています。
人々はオフィスに戻るために通勤用のスーツを買い揃え、ワードローブの古い服を整理して、外出が自由になった今年の夏休みに着る新しい服を買うので、サマーウェアや水着の売り上げが爆発的に伸びることが期待されています。供給が需要急増に追いつけず、モノ不足からインフレが一時的に跳ね上がる。それに反応して異常に低い状態に置かれていた金利が大幅上昇するリスクもあります。
FRBが1カ月以内に緩和縮小の決定を公式発表する可能性は高い。インフレの見方は分かれていても、景気が順調に再開するなかで、経済支援としての緩和政策は縮小してもよいという考えは共有されていると考えます。
今日の注目通貨
豪ドル/円:予想レンジ ↑85.49円 ↓79.73円
豪ドル/円のピボット(ブルベア判断の分かれ目)は、82.61円。
82.61円より上ならば豪ドル買いが優勢、82.61円より下ならば豪ドル売りが優勢と判断します。
2021年これまでの高値は85.80円、安値は78.85円。平均値は82.33円、値幅は6.95円。
1日の最大値幅は1.84円、最小値幅は0.19円。平均値幅は0.66円。
先週末の終値は、2020年終値に比べて2.97円の円安。
86.59円 : 第4レジスタンス (HBO)
85.80円 : 2021年 高値
85.49円 : 第3レジスタンス
84.39円 : 第2レジスタンス
84.20円 : 07月 高値
84.05円 : 第1レジスタンス
83.10円 : 07月 61.8%
82.76円 : 07月 平均値
82.61円 : ピボット
82.42円 : 07月 38.2%
81.32円 : 07月 安値
81.17円 : 第1サポート
80.73円 : 第2サポート
79.73円 : 第3サポート
78.85円 : 2021年 安値
78.64円 : 第4サポート (LBO)
021年 豪ドル/円データ
(荒地 潤)
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