下落相場への覚悟、できていますか?今こそ準備を!
トウシル / 2022年5月5日 6時0分
下落相場への覚悟、できていますか?今こそ準備を!
上げに比べて下げのスピードは非常に速い
最近、株価下落に対する注意、啓蒙(けいもう)をする内容のコラムを多く書いています。
「そんなのではなく、これから上がる株や銘柄が知りたい」とか、「もっと元気が出るような内容が良い」というお声もあるかもしれません。
それでも筆者が株価下落を警戒したコラムを書いているのは、下げ局面こそ個人投資家の多くが失敗してしまう原因が数多く存在するからです。
株価上昇局面では、極端な話、株を買って持っているだけで良いので、たまたまラッキーでうまくいくケースも正直よく見かけます。
しかし株価下落局面では、逆に株を持ち続けるほど株価が下がって損失が膨らんでいきますので、より具体的な戦術やルールが求められます。
実力の差が大きく現れるのが株価下落局面なのです。
ところで皆さんは、株価が上がるスピードと下がるスピードのどちらが速いと思いますか?
「上がるのも下がるのも同じくらいでしょ?」と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、過去の経験則上、上がるときのスピードより下がるときのスピードの方がはるかに速いです。
下記のチャートを見ていただいても、上昇しているときの株価の角度より、下落している時の角度の方が急であることが分かると思います。
弁護士ドットコム(6027)の月足チャート(2017年5月~2022年4月)
事前に決めたルールを守ること
この、「株価が下落するスピードが速い」ことにより、個人投資家がどのような影響を受けるのでしょうか?
あらかじめ事前に保有株売却のルールを決めておかないと、株価の下落が大きくなったときに心の準備ができておらず、株価が安いところで投げ売り、パニック売りをしてしまうのです。
ルールを決めていないと、株価下落の初期段階では「今までみたいに下げは一時的なものですぐ戻るだろう」と高をくくってしまいます。
ところが株価が天井を付けた後の本格的な株価下落局面に突入すると、株価はかなり速いスピードで下落をします。
その結果、「あっ! いつもと違う下げだ。これはまずいかも」と思った時にはかなり株価が大きく下がっていることが多く、今さら売るに売れず塩漬けにしてしまうか、慌ててパニック売りをしてしまうかのどちらかになってしまいます。
ですから、あらかじめ持ち株を売却するときのルールを決めておき、かつそれを順守するようにしましょう。それにより、株価下落局面であっても損失を最小限に食い止めることができます。
筆者はシンプルに25日移動平均線割れで売却としていますが25日移動平均線ではなく75日移動平均線を使う、直近安値を割ったら売却、といったように、ご自身でしっくりくるルールを決めていただければ結構です。
長期投資をするなら、それを貫く覚悟を
中には、5~10年とその株を持ち続けるつもりで長期投資をしている方もいると思います。株式投資のスタイルは人それぞれですから筆者もそれは尊重しますが、もし長期投資をするのであれば、株価がどんなに下がってもそれを貫く覚悟が求められるという点はよく理解しておいてください。
特に株価指数に連動するインデックスファンド(投資信託)ではなく、個別銘柄を長期投資する場合は、保有している株が50%を超えて大きく下落することも往々にしてあります。
ここで、この株価下落に耐えられず半ばパニック気味に売ってしまうと、結局は底打ち近辺の最も安い価格で売ってしまうということになりかねません。
もちろん、我慢して持ち続けた結果、株価が大きく値下がりしたまま戻らず、塩漬け株をつくってしまう恐れもあります。
ですから、株価がどんなに下がっても耐えることができるかどうかを自問自答していただき、もしご自身には難しそうだと感じたならば、株価がどこまで下がったら売却するかというルールを明確化しておくことを強く勧めます。
筆者自身、株価の下落に耐える自信がないので、売却ルールをしっかり決めてそれを守っているのです。
下がったら買いは「無限ナンピン地獄」の恐れも
中には、株価が大きく下がったら買おうと思っている逆張り志向の方もたくさんいると思います。
ただし、本格的な株価下落局面になった場合、株価が下がったら買おう、という行為は下手するとナンピン買い(追加購入して平均取得価格を下げる)を繰り返す、非常にリスクの高い行動になってしまいます。
例えば株価が直近の高値から20%下落した場合、長期上昇相場であればこの程度で下げ止まって上昇に転じることはよくあります。ですからこの水準のときに逆張りで買い向かう個人投資家も多いはずです。
ところが長期上昇相場が終焉(しゅうえん)し長期下落相場に転じたとき、20%の下落では下げ止まらず、30%、40%、50%…と、株価下落が続いていくごとにナンピン買いを繰り返すことになります。
その結果、資金力に限りがある個人投資家からみれば、何度買っても株価が下がって含み損が膨らむばかり、しまいには投資資金もなくなってしまう、という可能性もあります。
ですから、安易な逆張りの買い向かいは慎重になるべきだと筆者は強く思います。
株価が下落したら早めに売却するのも、売らずに株価下落に耐えて反転上昇を待つのも、そして逆張りで買い向かうのも戦術です。
でも、筆者としては、損失が大きくなる前に保有株を売却してしまった方が、安全度はかなり高まると思います。
株式投資を長年続けていれば、下落相場を避けることはできません。大きく下がってから動こうとしても手遅れになってしまいますから、今のうちから準備をしておきましょう。
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(足立 武志)
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