上がるも下がるも外国人次第の日本株。9月は外国人売りで急落、10月はどうなる?
トウシル / 2022年10月4日 8時0分
上がるも下がるも外国人次第の日本株。9月は外国人売りで急落、10月はどうなる?
上がるも下がるも外国人次第の日本株
今日は、日本株を動かしている外国人の売買動向を解説します。いつもお話ししている通り、日本株は過去30年以上、外国人投資家が動かしています。外国人は、買う時は上値を追って買い、売る時は下値をたたいて売る傾向があるので、短期的な動きは外国人次第です。
7月4日から8月19日までの間、外国人は日本株を約2.9兆円買い越しました(株式現物と先物の合計)。外国人の買いによって、日経平均株価は一時2万9,000円を上回りました。
ところが、そこから一転して外国人は大量の売り越しに転じました。8月22日から9月22日までの間、外国人は日本株を約2.4兆円売り越しました(現物・先物の合計)。まだ統計が出ていませんが、9月26日以降も売り越しが続いているもようです。
外国人の売りによって、日経平均は一時2万6,000円を下回りました。外国人次第で、日経平均が乱高下していることがよくわかります。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2021年1月4日~2022年10月3日(外国人売買動向は2022年9月22日まで)
ただし、2021年から2022年までの日経平均の動きと、外国人の売買を俯瞰(ふかん)すると、2021年も2022年も外国人売買は方向が定まらず、売り買いがめまぐるしく変わっていることがわかります。すごい勢いで買い始めたと思っても長続きせず、すぐ売りに転じます。すごい勢いで売り始めたと思っても、それも長続きしていません。
その結果、2021年の日経平均株価はトレンドが出ず、狭いレンジの上げ下げを繰り返してきました。2022年に入ってから、3月まで外国人の売りで大きく下がりましたが、その後は、また一定のレンジ内で上げ下げを繰り返しています。
外国人売買で暴落後に急騰した2020年
外国人によって、もっと大きく日経平均が動いたのが、2020年です。2020年の日経平均は、外国人売りで暴落した後、外国人の買いで急上昇しました。
日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と日経平均先物の合計):2020年1月6日~2020年12月31日
2020年の動きを見ていて思うのですが、外国人はあまり日本株をうまくトレーディングしていません。2020年はコロナショック後の最安値で巨額の売りを出し、年後半の急騰局面で巨額の買いを出しているからです。安く売って、高く買っているので、2020年の外国人は日本株のトレーディングで大失敗しています。
10月の外国人はどう動くか?
9月はFRB(米連邦準備制度理事会)が、0.75%の大幅利上げを実施した上、さらに利上げ・引き締めを続ける意思を示したので、世界的に株が急落し、日本株にも外国人売りが増えました。
10月はFOMC(米連邦公開市場委員会)開催の予定がないので、利上げはないはずです。11月・12月のFOMCでさらなる利上げがある可能性がありますが、とりあえず10月は利上げがない見込みです。
10月の株式市場の注目は、これから発表が始まる7-9月の企業業績となるでしょう。4-6月までは、いろいろ不安があっても日米とも企業業績は好調でした。
増益が見込まれる中で、日米とも株価が下がっているので、日米ともPER(株価収益率)で見て、割安となってきています。このまま、企業業績が悪化することがなければ、業績によって株価が支えられることになるでしょう。
ただし、7-9月の企業業績が一転して減益トレンドとなれば、PERの信頼性は低下し、さらに日米とも株価が売られる可能性が出ます。7-9月の実績、10-12月以降のガイダンスにおいて、企業業績が悪化に転じるか否か、それが10月の注目点となるでしょう。
10月の日米企業業績が引き続き堅調ならば、外国人は買い越しに転じ、日経平均は反発すると予想されます。ただし、企業業績が悪化してくると、外国人の売りが続くと考えられます。
日経平均の方向性を決めるのは、最後はファンダメンタルズですが、短期的な動きを決めているのは、外国人です。これからも外国人の売買動向をしっかり見ていく必要があります。
引き続き、外国人の日本株売買動向をウオッチしていくことが大切です。外国人の動きで気づいたことがあれば、本コラムで報告します。
▼著者おすすめのバックナンバー
2022年10月3日:日経平均は二番底トライ?米景気ハードランディング避けられない?
2022年9月21日:リーマンショック前夜?二つの共通点と三つの相違点
2022年9月14日:止まらない円安、一時1ドル145円に接近。円安が終わるための条件
(窪田 真之)
この記事に関連するニュース
-
1ドル=170円説も台頭だが…チャート上ではそろそろ円安ピーク(中西文行)
日刊ゲンダイDIGITAL / 2024年5月3日 9時26分
-
ドル円ジェットコースター、1ドル=160円突破後、一時154円台に。どうなる日経平均?(窪田真之)
トウシル / 2024年4月30日 7時0分
-
外国人投資家による日本株売買手口の見方:外国人は売り転換?(窪田真之)
トウシル / 2024年4月16日 7時0分
-
相場展望4月8日号 米国株: NYダウなど主要株価指数が「弱気」、上昇支持線下回る 日本株: 買い主体の交替「海外投資家⇒証券自己」に、リスク注意
財経新聞 / 2024年4月8日 11時52分
-
外国人投資家の売りで日経平均下落。当面、スピード調整か(窪田真之)
トウシル / 2024年4月8日 7時45分
ランキング
-
1GWが明けたら次の祝日は7月の海の日…産業医が教える「年間幸福度」を最大に引き上げる有給の賢い取り方
プレジデントオンライン / 2024年5月7日 7時15分
-
2思わずクリック「フィッシング詐欺」メールの巧妙 専門家も見極め困難、2要素認証と「意識」が大切
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 9時0分
-
3日本郵便と西濃が共同輸送 長距離対象、24年問題に対応
共同通信 / 2024年5月6日 17時34分
-
4「ブラザー工業のTOB案」にローランドDGが大反論 DG常務「傘下に入ると営業利益が50億円下押し」
東洋経済オンライン / 2024年5月7日 11時0分
-
5「ようやく再出発」ダイハツ本社工場で生産再開 国内の全工場が稼働に 停止から約4か月半…従業員「やっぱり長かった」
MBSニュース / 2024年5月7日 9時20分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください