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外国人投資家による日本株売買手口の見方:外国人は売り転換?(窪田真之)

トウシル / 2024年4月16日 7時0分

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外国人投資家による日本株売買手口の見方:外国人は売り転換?(窪田真之)

分かりにくい外国人の売買動向

 日経平均株価(225種)は年初から外国人投資家の大量買いで大きく上昇してきましたが、外国人は3月の最終週(3月25~29日)に現物と先物を合わせて日本株を約1兆1,700億円売り越しました。とうとう、外国人は売りに転換したかと思いました。

 ところが、4月第1週(4月1~5日)、外国人投資家は約8,400億円の買い越し(現物と先物の合計)でした。

<日経平均と外国人の売買動向(買越または売越額、株式現物と先物の合計):2022年1月4日~2024年4月15日(外国人売買は4月5日まで)>

出所:東京証券取引所「投資部門別売買動向」より楽天証券経済研究所が作成
注:外国人売買は、株式現物と日経平均先物、日経平均ミニ先物、TOPIX先物の合計。棒グラフが上(プラス方向)に伸びているのは買越、下(マイナス方向)に伸びているのは売越を示す

 本リポートにいつも書いている通り、日本株は、外国人が買うと上がり、外国人が売ると下がる傾向が、30年以上、続いています。

 2022年以降の流れを見ても、そうなっています。2022年1月は外国人の大量売りで日経平均が大きく下がりました。2023年・2024年は、外国人の大量買いで大きく上昇しています。外国人が売り越すと一時的に下がっていますが、今のところ、外国人の売りは一時的で、日経平均が外国人買いで上昇しているトレンドは、まだ崩れていないように見えます。

外国人投資家は4月第1週、本当に買い越しだったのか?

 東証の主体別売買統計を見ると、4月第1週(1~5日)の外国人投資家は、株式現物を約1兆1,800億円買い越し、株価指数先物(日経平均先物・日経平均ミニ先物、TOPIX(東証株価指数)先物)を約3,400億円売り越しています。株式現物と先物を合わせると、約8,400億円の大幅買い越しだったことになります。

 しかし、この週、本当に大幅買い越しだったのか、疑問があります。後で説明しますが、たまに、東証の主体別売買統計が実態を表さないことがあるからです。本当に買い越しだったか疑問を感じる理由は二つあります。

【1】4月第1週の日経平均は1週間で1,377円の下落だった

 過去30年以上、日経平均が急騰する時は外国人が買っていて、日経平均が急落する時は外国人が売っている傾向が鮮明です。4月第1週に外国人が約8,400億円も買い越しているのに、日経平均が急落しているとしたら、それは極めて珍しいことです。

 私の記憶では、過去30年で、外国人が大幅に買い越している中で日経平均が急落したのは、1回しかありません。2011年3月、東日本大震災が起こった直後です。この時は、国内投資家の売りで日経平均が急落する中、外国人投資家は買い越しでした。

【2】3月最終週に大幅売り越しの外国人が4月第1週に大幅買い越しになるのは珍しい

 外国人の売買動向が、急に変わるのは珍しいと思います。ただし、あくまでも珍しいというだけで、外国人の売買が毎週ころころ変わることも、過去にあります。

 あくまでも仮説ですが、4月第1週の外国人投資家は、大幅買い越しではなかった可能性もあります。市場外の取引が大きくなっていて、市場内の取引だけ見ても、実態を表さないことが、たまにあるからです。

 4月第1週、証券自己が、9,671億円、株式現物を売り越しています。あくまでも仮説で、真実は分かりませんが、これが事実上の外国人の売りである可能性もあります。そうだと仮定すると、4月第1週の外国人は、小幅の売り越しだったことになります。

市場外取引が大きくなったため、市場での売買統計が実態を表さないことも

 外国人投資家や、国内の機関投資家は、証券会社に売買を代行させることがあります。例えば、外国人投資家が買い実行したいとき、証券会社に買いを取引所で代行させることがあります。

 証券会社は、取引所が閉まってから、市場内で買い付けた玉を、市場外取引で、外国人にクロス取引で引き渡します。これだと、取引所の統計では、買っているのは証券会社自身となり、外国人であることが分かりません。

 また外国人投資家が、大口の売りを実行したいときは、証券会社に代行させることもあります。証券会社は、取引所内で売りを行い、取引所が閉まってから、クロス取引で外国人投資家から売り玉を受け取ります。

 これだと、取引所での統計では、売っているのが証券会社となり、外国人が売っているのか分かりません。

短期的にスピード調整の可能性

 東証の売買統計が実態を表しているか、表していないか、実態は分かりません。いずれにしろ、短期的には、日本株は米国の金利上昇などを警戒してスピード調整となる可能性もあります。短期的には、警戒が必要です。

 ただし、日本株は割安で、長期的に上昇余地が大きいという見方は変わりません。短期的な調整リスクを考慮しつつ、時間分散しながら割安な日本株を買い増ししていくことが、長期の資産形成に寄与すると考えています。

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(窪田 真之)

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