日銀「大規模緩和」継続なら、再び「150円」か?
トウシル / 2022年10月28日 9時50分
日銀「大規模緩和」継続なら、再び「150円」か?
今日のレンジ予測
[本日のドル/円]
↑上値メドは148.70円
↓下値メドは143.60円
日銀:政治的動機による金融政策に批判も
日本経済:景気回復鈍い。新型コロナ後のモノからサービスへの需要移動が進まず
雇用市場:求人広告が増えているのは掲載料が格段に安くなったことも理由
中国:遺伝子組み換え作物を促進
FRB:フォワードガイダンスは死んだ。FRB は言うことと全く違うことをする。
FRB:FRBの発言は市場の理解を深めずボラティリティを高めるだけ
中立金利:FRBの中立金利は、名目インフレの0.5%上
米経済:1年以内のリセッション確率は60%超まで悪化
エネルギー:政府が価格上限設定をすると節電が進まないというジレンマ
経済指標:通貨市場は速報値により反応するが、株式市場は確報値を重視
今日は日銀の金融政策決定会合だ。
この日ドル/円は円高に動き、今週月曜の介入直後の水準(145.41円)も下回った。「大規模緩和続けると言っても大丈夫だな…」と、黒田総裁は安心しているかもしれない。
10月27日(木曜)のドル/円は3営業日「円高」。
1日のレンジは145.10円から146.94円。値幅は1.84円。
2022年214営業日目は146.32円からスタート。全般的なドル売りの流れのなかで、146円を下に抜けたドル/円は、昼過ぎには145.10円まで円高に動いた。しかし145円台に沈む手前で方向転換すると夜遅くには146.94円まで大きく上昇する。
終値は146.26円(前日比▲0.11円)。この日発表された米国の第3四半期GDP(国内総生産)速報値は+2.6%で、3期ぶりにプラス成長に戻った。米長期金利が3.90%まで低下するなかでは、ドル買いに力が入らず、押し戻されて終わった。
レジスタンスは、
148.65円(200時間移動平均)
146.94円(10/27)
148.41円(10/26)
サポートは、
145.10円(10/27)
144.62円(10/07)
144.38円(10/06)
米国の景気減速がはっきりするほど、「FRBの利上げペースは緩やかになり、最終着地レートも低くなる。」株式市場にとっては「悪いニュースは、良いニュース」ということだ。
ドル/円が円高に動いたのは、介入効果というよりも、「フェド・ピボット」期待で米長期金利が下落したことが理由である。1週間前、4.25%まで上昇して2008年7月以来の高水準を記録した米国の10年債利回りはこの日3.90%まで弱含んでいる。
時期が来れば市場は自然に反転するのだ。あと数日待っていれば数兆円もの資金を投じて為替介入をする必要はなかったかもしれない。
FRB(米連邦準備制度理事会)は来週「利上げペース減速を発表する。」マーケットはその期待で大いに盛り上がっている。しかし、今年9月に「2023年の利下げ」期待がFRBに手厳しく却下された経験を忘れていないだろうか。
インフレを泳がせすぎて大失敗したFRBが、インフレが鎮静化する前にハト派に転向すると予想するのは先走りすぎているような気がする。物価高に対する不満で民主党のバイデン政権の支持率が下がっている。11月8日の中間選挙が危ういというのに、インフレとの闘いを休むような発言をパウエルFRB議長がするとは考えにくい。少なくとも、10月の雇用統計とCPI(消費者物価指数)の結果を見る前に判断はしないだろう。
ECB(欧州中央銀行)は10月の理事会において政策金利を0.75%利上げすることを決定した。政策金利(主要金利)は1.25%から2.00%、貸付金利(上限金利)1.50%から2.25%、そしてデポ金利(下限金利)は0.75%から1.20%へそれぞれ引き上げられた。
またTLTRO(条件付き長期リファイナンスオペ)の残高約2兆ユーロ(約294兆円)について、融資の条件を引き締めた。TLTROは超低金利でユーロ圏の銀行に長期資金を貸し出す制度でコロナ禍に見舞われた欧州企業に対する融資拡大策として導入された。しかし、最近の急速な利上げで、銀行が同プログラムで借り入れた資金をECBの口座に滞留させるだけでリスクゼロの利益が得られることが問題になっていた。しかし、最近の急速な利上げで、銀行が同プログラムで借り入れた資金をECB(欧州中央銀行)の口座に滞留させるだけでリスクゼロの利益が得られることが問題になっていた。
主要指標 終値
今日の為替ウォーキング
今日の一言
何も質問しない人は、何でも知っているか、何も知らないかのどちらかだ – フォーブス
Boys Are Back In Town
「急速な円安の進行は好ましくない」と黒田日銀は繰り返し発言しているが、本当に円安を止めたいのなら、その根本の原因である日銀の政策を引き締め方向へ修正すればよいことである。
ところが日銀は逆に、長期金利の上昇を徹底的に抑えるための買いオペを増額して実施している。円安を煽るつもりはないだろうが、少なくとも円安を止める気がないと受け取られても仕方がない。
日銀は、2013年4月に「量的・質的金融緩和」政策を導入して以来、9年以上も異次元緩和続けているが、金融部門がその効果のほぼすべてを吸収し、実体経済の支援にはなっていない。低金利も、新規ビジネスの支援よりも、ゾンビ企業の延命に利用されているとの批判がある。日本企業の1/4は、緩和政策の即時終了を希望しているとの調査もあるのに、日銀が大規模金融緩和を続ける理由は何か。
それは「金融抑圧」ではないか。金融抑圧とは、インフレと低金利を組み合わせることによって、政府の債務を非常に低い金利でファイナンスし、究極的には膨張した政府の借金の棒引きを図ることを目的とする政策である。
インフレはモノの値段が上がることだが、相対的に円の価値が下がるということでもある。借金をしている人(政府)は、インフレになれば返済するお金が少なくなる。お金の貸し手側(投資家や預金者)から見ると、受け取るお金の価値が減るのだ。しかし、その分金利上昇による運用益(利息)が増えるため、市場原理が正常に機能している市場においては、プラスマイナス・ゼロになる。
しかし、日銀が人為的に国債利回りを低く抑えつつ、インフレを発生させることによって、借金をしている政府は、低利息で利払いを軽減させながら、お金の価値の減少させることによって債務残高を縮小することが可能になる。インフレ率を2%以上にして、国債金利を0.25%に固定する状況を安定的に達成できたなら、日本政府の借金は30年後に実質的には半分近くまで減少するとの計算がある。これが日銀緩和政策の目標ではないか。
金融抑圧は、借金を抱える政府にとっては、増税や歳出削減など痛みを伴う改革を行わずに済ませることができて良いことづくめだ。そのしわ寄せを受けるのは貸し手(国民)である。
今週の 注目経済指標
今日の注目通貨:ユーロ/円
予想レンジ ↑152.66円 ↓137.66円
今週のユーロ/円のブルベアの分かれ目は145.16円。
145.16円より上ならばユーロ買いが優勢、145.16円より下ならばユーロ売りが優勢。
2022年現時点の高値は145.64円、安値は124.39円。平均値は135.01円。
1日の最大値幅は4.99円、平均値幅は1.47円。
2022年の値幅は21.25円。
2021年の終値(130.96円)に比べて13.69円のユーロ高。
155.52円 : 第4レジスタンス(HBO)
152.66円 : 第3レジスタンス
149.79円 : 第2レジスタンス
148.91円 : 第1レジスタンス
148.40円 : 2022年高値
145.64円 : 09月 高値
145.16円 : ピボット
144.65円 : 10月 平均値
141.41円 : 第1サポート
140.90円 : 10月 安値
140.52円 : 第2サポート
137.66円 : 第3サポート
137.35円 : 09月 安値
136.40円 : 2022年平均値
134.79円 : 第4サポート(LBO)
2022年 ユーロ/円データ
(荒地 潤)
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