新NISAに向けて、2023年にやるべきことまとめ
トウシル / 2023年1月28日 8時0分
新NISAに向けて、2023年にやるべきことまとめ
2023年のうちに準備できること
2024年から始まる新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)には、「生涯非課税限度額」が設けられます。この総枠は、簿価ベース(=取得価額)で管理され、保有資産の売却を行うと、その分の枠が復活し、再利用できるようになります。
現行のNISA制度は、制度上の制約により、良くも悪くも「ひたすら積み立ててほったらかし」にするほかありませんでしたが、新NISAでは、「使いながら増やす」ことも可能になります。
いつか来る老後のためにコツコツと資産形成を続けることはもちろん重要ですが、現実問題として、出費を伴うライフイベントというのは幾度となく訪れます。そこで、新NISAを使いこなすため、また、「ほったらかし投資」から一歩踏み出すための準備運動として、今年中にできることを3点ご紹介します。
(1)向こう5年、または、10年以内に訪れる可能性があるライフイベントの棚卸し
(2)投資商品の「引き出し」を増やす
(3)現行のNISA口座を開設する(まだ開設していない場合)
ライフイベントは、10年が難しければ5年を目安にして、一度書き出してみましょう。あくまでも「可能性」ですから、結果的に実現しなかったとしても問題ありません。どのタイミングで、どの程度の資金の流動性を確保する必要があるか、把握しておくことが大切です。
子どもの教育資金や住宅購入資金のように、投資に充てられる時間に制約がある資金については、現金化のタイミングと、マーケットの調整局面が重ならないよう、リスクの取り方を工夫する必要があります。
現行のつみたてNISAで主流の「ほったらかし投資」は、超長期投資を想定しているため、株式に投資するインデックスファンド(指数連動型投資信託)一択でも問題はありませんが、使いながら増やしていきたいなら、インデックス以外の投資信託についても理解を深め、選択肢の「引き出し」を増やしておくことをお勧めします。
まだ現行のNISA口座を開設していないという人は、今年中にNISA口座を開設し、資産運用の準備運動をしておくことをお勧めします。新NISAは、現行制度の改良版ではあるものの、別制度としてスタートするため、既に現行のNISA口座で非課税の恩恵を受けたという場合でも、2024年から新たに総額1,800万円の投資枠が使えるためです。
節税の「即効性」ならiDeCoも選択肢
また、新NISAの影に隠れて存在感が少々薄れてしまっていますが、iDeCo(イデコ:個人型確定拠出年金)も、個人の資産形成を後押しするために作られた、節税効果の高い制度です。iDeCoでは、掛金が全額所得控除され、課税所得が減ることで、当年分の所得税と翌年分の住民税が軽減されます。節税面では、NISAよりも「即効性」が期待できます。
実はこのiDeCoも、2022年に制度が改正され、加入対象者が大幅に広がりました。
まだiDeCoもNISAも未加入・未開設という方で、どちらから始めるか迷っている方は、iDeCoを優先することをお勧めします。
iDeCoは年金制度なので、掛金の拠出は65歳に到達するまでという年齢制限が設けられています。つまり、タイムリミットがあるのです。一方、NISAは、2024年から恒久制度になるので、いつ始めても最大1,800万円の生涯非課税限度額を利用できます。
iDeCoで積立投資に慣れてから、または、資金面に余裕が出てから取り組むことも可能です。何より、iDeCoは毎年の年末調整で税金が還付されるので、少しでも早く始めたほうが節税できてオトクです。
注意点を挙げるなら、iDeCoは老後の所得保障を目的とした制度のため、手厚い税優遇を認める代わりに、原則60歳まで資金を引き出すことができないということです。もしものときのために流動性を確保しておきたい資金については、NISAを活用しましょう。
以上をまとめると、
というのがよいでしょう。
始めるタイミングは早ければ早いほど望ましいですが、最低限の手元資金の目安として、定期的なキャッシュフローがある会社員の方なら年収の4分の1程度、キャッシュフローがイレギュラーな自営業の方は年収の半分程度を確保しておくことをお勧めします。
(篠田 尚子)
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