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1ドル=152円が政府の防衛ライン!?円安進行で、円買い介入警戒感高まる

トウシル / 2024年4月3日 16時0分

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1ドル=152円が政府の防衛ライン!?円安進行で、円買い介入警戒感高まる

米FRB幹部「利下げ先送り、回数減が適切」と発言

 3月の外国為替市場のドル相場は、日本銀行の早期マイナス金利解除の思惑からドル安円高で始まり、上旬から中旬入りにかけて、1ドル=150円台から146円台へと円高が進みました。

 日銀の18,19日の金融政策決定会合で、マイナス金利解除など17年ぶりの利上げが決定されましたが、市場では今後も金融緩和環境が続くとの思惑が予想以上に強まりました。27日に一時151円97銭を付け、34年ぶりとなるドル高円安水準となり、3月の取引は151円台前半で終えました。

 4月に入り、日本政府による円買いの為替介入への警戒感から1ドル=152円は抑えられていますが、151円台の底堅い動きをしています。

 この日銀のタカ的(利上げ)ハト派(金融緩和継続)姿勢に対して、米国の中央銀行に当たるFRB(連邦準備制度理事会)はハト的(年内利下げ示唆)タカ派(景気・物価の強気見通し)姿勢を維持しています。日銀のタカ的ハト派、FRBのハト的タカ派姿勢が変わらない限り円売り・ドル買い地合いは続き、ドルは4月も底堅い動きになりそうです。

 そして、3月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で示された米経済の強気見通しと、年内3回の利下げ予想との整合性が維持される展開になるかどうかが鍵を握ります。米経済が堅調に推移した時でも、FRBは年3回の利下げの想定を維持するのかどうか注目です。今後の経済指標で明らかになってくると思われますが、もし、利下げ時期の後ろ倒しや利下げ回数が減る場合は、ドル買いに勢いが付き、円安・ドル高が長引く可能性があります。

 4月は、この日米それぞれの金融姿勢に変化があるかどうか見極める月になりそうです。3月末から4月初めにかけ、その変化をにおわすFRB幹部の発言や経済指標の発表が相次ぎました。

 まずFRBのウォラー理事が27日に、最近の期待外れの物価指標が利下げを遅らせる根拠になっているとの認識を示し、「全体の利下げ回数を減らすか、さらに利下げを先送りするのが適切だ」と述べています。ウォラー理事はFRB内でタカ派として知られますが、利下げが適切だとハト派寄りになっていたのですが、ややタカ派寄りに修正した発言でした。

 そしてFRBのパウエル議長もFOMC後の記者会見ではハト派寄りの発言をしていましたが、29日には「利下げを急ぐ必要はない」と述べています。最近の経済指標を受けて、FRB内で利下げ時期を慎重に検討する動きが出てきているのかもしれません。ただ、両者とも利下げそのものを否定しているわけではないようです。

 また、4月1日に発表された3月ISM(米サプライマネジメント協会)製造業景況指数が市場予想を上回る50.3となり、好不況の分かれ目となる50を2022年9月以来、1年半ぶりに上回りました。

 米国の製造業の生産が急回復し、新規受注が増加したことが指数上昇の背景にあるようです。生産回復が続くのであれば、利下げ時期は後ろ倒しになって、利下げ回数も減る可能性が浮上してきます。もしそうなれば、高い金利環境と円安地合いが長引く可能性が高まります。

通貨当局の防衛ラインは1ドル=152円?介入なら円急騰も

 現在の為替相場は、1ドル=151円台で足踏みしている状況です。日本政府の通貨政策の実務を取り仕切る財務省の神田真人財務官が3月に現在の円安進行は「投機的」と指摘し、「あらゆる手段の準備はできている」と強い姿勢でけん制しました。

 27日には、財務省、金融庁、日銀による三者会合が開催され、市場では一段と為替介入への警戒感が高まりました。ただ、こうした通貨当局による実際の円買いを伴わない口先介入だけでは円高への方向転換は難しそうです。

 しかし、2022年9月に実施された為替介入の流れを振り返ると、1ドル=152円を超えると、実弾が出てくるかもしれないため、警戒する必要はありそうです。

 参考として、2022年9月22日のドル売り・円買い介入を振り返ってみます。9月7日に1ドル=144円99円銭を付けた後の8日に三者会合が開催され、神田財務官が「(為替介入などの対応は)スタンバイな状態だ」と警告していたこともあり、介入警戒感から9日には141円台へ円高になりました。

 しかし、21日のFOMCで米金利見通しが上方修正されたことから再び円売りが強まり、日銀が22日の金融政策決定会合後に金融緩和維持の強い姿勢を示したことから、145円90銭を付けました。その直後、円買い介入が実施され140円台に円は急騰しました。これらの動きから8日の三者会合で1ドル=145円台乗せで円買い介入が協議されたことが推測できます。

 鈴木俊一財務相は現在の1ドル=151円台の為替水準について、「具体的な防衛ラインはない」と明言していますが、今回も三者会合で1ドル=152円の防衛ラインが協議された可能性も推測できるため、152円台に乗せた場合の円買い介入は警戒する必要がありそうです。

 しかし、介入の実弾が出ても日米の金融環境が変わらない限り、再び円安となり、介入警戒感から円安進行のスピードが緩やかになっても根強い円売り意欲は続くことが予想されます。

 2022年9月は、結局1ドル=144円台でその月を終えています。10月には、再び円安となり、152円台手前まで円安が進んだところで、2回目の円買い介入が実施されました。

 この10月21日の介入金額は5.6兆円で、一日あたりの規模としては1991年4月以降の円買い介入で最大でした。この介入で1ドル=145円台の円高となりましたが、149円台に戻ったため、週明けの24日にも円買い介入が実施され、145円台の円高になりました。しかし、再び1ドル=149円台に戻り、148円台で10月を終えています。

 その後、米国の要因(物価鈍化が鮮明、利上げペースの鈍化示唆)によって、2023年1月には127円台まで円高に傾きましたが、その年の10月には、日米金融政策の違いが意識され再び1ドル=151円台の円安になりました。

 これらの動きから2022年の介入の教訓として留意しておくことは、

  1. 通過当局は防衛ラインを否定しているが、やはり設定している可能性があり、三者会合後には特に警戒する必要がある。今回は1ドル=151円台で三者会合が開催されているため、152円が防衛ラインとなる可能性が推測される。
  2. 大規模介入、連続介入、介入の有無を明らかにしない覆面介入(2、3回目は公表せず)を実施していることには留意。特に覆面介入は、市場を疑心暗鬼にさせるため、動きづらい相場が続く可能性がある。
  3. 介入による効果は、瞬間的には5円から6円の円高であり、効果の持続期間も短い。
  4. 円安地合いを生み出している日米金融環境が変わらない限り、円安地合いが続く可能性が大きい。

 現在、1ドル=151円台で足踏みしていますが、早晩、152円は超えそうな気配です。152円を超えた後に円買い介入があった場合の対応は以上のような点を考慮して準備しておく必要がありそうです。    

(ハッサク)

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