なぜ世界の開発現場では「失敗」を重視するのか 生産性低い日本人が知らない「Fail Fast」の価値
東洋経済オンライン / 2023年11月14日 18時0分
加速化するグローバル化にともない、ビジネスの世界でいっそう求められるようになってきた「スピード感」のある判断。実はそうした「スピード感」を実現するためには「失敗」が欠かせないといいます。グローバルな市場で勝ち抜くために必要な「失敗を正しく生かすための思考法」について、アメリカのマイクロソフトエンジニアの牛尾剛氏が解説します。
※本稿は牛尾氏の新著『世界一流エンジニアの思考法』から一部抜粋・再構成したものです。
リスクや間違いを受け入れることが生産性を加速
生産性を加速するうえで重要なマインドセットの1つとして、「リスクや間違いを快く受け入れる」というのを挙げたい。
【図】失敗が生み出すビジネスの好循環をあらわした「Fail Fast」のイメージ
リスクとの向き合い方は、われわれ日本人にとってかなり難易度の高いものかもしれない。リスクを受け入れるとは、欧米のビジネスシーンにおいて次のことを意味する。
・間違いを厳しく批判したり懲罰したりしない
・失敗から学ぶ態度
・Fail Fast(早く失敗する)
・実験が推奨されている
・全員に「現状維持」や「標準」を要求せず、臨機応変が推奨される
・非難や恐怖感のない環境
これらの習慣の大切さは、私自身、渡米前から言葉ではわかっているつもりだったが、実際に現地で働いてみると、想像の範囲をはるかに超えていた。
間違いや失敗に対するイメージが根本的に違うのだ。
インターナショナルチームでまず気づいたのが、同僚や上司が「Miserably Failed(惨めに失敗した)」という言葉を頻繁に使っていることだった。
日本では「決して失敗は許されない」プロジェクトが多々あった。しかし、人間なので、いくら失敗が許されない状況だろうが、どんなに準備しようが、失敗は発生する。
奇妙なことに日本では、ネットでもお客さんが激怒し、炎上して中身も売れ行きもボロボロなのに、納期と予算を守ったという理由で「成功」したことになっているプロジェクトをいくつも見てきた。
組織で失敗すると、左遷されたり詰め腹を切らされたりして悲惨な目にあうので、失敗を認めづらいのだ。だから、ビジネスにおけるあらゆる選択肢は、個人としても組織としてもつねに無難なほうへと流れてゆく。
失敗の報告には「フィードバックをありがとう!」
一方、アメリカでは、失敗や間違いで怒られることが皆無だ。失敗に気づいた後に、本社に報告すると、「フィードバックをありがとう!」と大変感謝される。
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