「だから新規事業は失敗する」ここが欠落した視点 「小さく賭け、ためらいなく修正」が正しい方法
東洋経済オンライン / 2024年4月5日 10時0分
現状を打破すべく、大きな目標を掲げたり、新規事業でイノベーションを狙おうという企業は多い。「この事業がうまく成長すれば……」というビジョンは素晴らしいが、ともすれば絵空事に終わってしまう。失敗する企業はたいてい、未来の仮定が間違っていたにもかかわらず、軌道修正ができなかったから失敗するのである。
不確実性が高い現代社会においては、ときに想定外の結果になることも、思うように進まないこともよくある話。むしろ、活動前から首尾一貫した結果を求めたり、失敗を特定の部署や個人のせいにして終わらせたりすることが問題である。
コロンビア・ビジネススクールで教鞭をとり、世界的な経営学者として名を馳せるリタ・マグレイスは「どんな戦略においても、知的な失敗は歓迎すべきだ」という。彼女の最新刊『ディスカバリー・ドリブン戦略』では、今この時代に有効な「優れた戦略の立て方」がつまびらかになっている。このディスカバリー・ドリブンの計画法を使って企業経営のサポートを行っている小川康氏が、具体的な手法を解説する。
事業は仮説が外れると失敗する
ディスカバリー・ドリブン・プランニング(仮説指向計画法・Discovery-Driven Planning、以後DDPと記載)は、コロンビア・ビジネススクールのリタ・マグレイス教授とペンシルべニア大学ウォートンスクールのイアン・マクミラン教授によって開発された、戦略目標達成を支援する経営管理手法である。
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両教授は、アメリカ企業において約70億円以上の損失をもたらした多数の事例にもとづいて、「事業は仮説が外れると失敗する」という共通項を導き出した。仮説とは、戦略目標達成に必要な条件のことであり、わかりやすく言えば「たら・れば」のことである。
戦略目標達成のためには、まず仮説を明確にすること、そして仮説が実現するようにマネジメントすることが、DDPの要点である。
DDPでは、事業に関する「仮説」と「知識」の割合に注目することが強調されている。新事業や新製品開発・M&A等における戦略目標は、新たな取り組みであるがゆえに、「仮説」の割合が高く「知識」の割合が低い。DDPによると、「仮説」の割合が高いまま事業を進めると失敗(大きな損失が生じる)しやすいので、「仮説」を「知識」に変えていく行動、例えば想定顧客に関する調査であったり、試作品による仮説検証であったり、段階的出資等が必要となる。
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