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資格試験に受かる人の勉強は「質と量」どちら重視 「資格試験に落ち続ける人」が陥りがちなパターン

東洋経済オンライン / 2023年11月15日 16時0分

資格試験の勉強をするとき、「質と量」どっちを取るべき?(写真:yosan/PIXTA)

読売新聞社記者などを経て、働きながら独学で司法書士試験、公認会計士試験に合格した石動龍氏による連載「あらゆるスキマ時間で集中学習! 無駄ゼロ独学術」。エンターテインメントコンテンツのポータルサイト「アルファポリス」とのコラボによりお届けする。

質と量、どっちを取るべきか

失敗は成功のもと、という言葉は誰でも知っています。発明家のエジソンは「失敗は積極的にすべき」という趣旨の言葉を残しています。独学でもこれは当てはまります。

小さい失敗を繰り返し、そのたびに誤りを修正することによって、勉強や解答の方法が洗練されていきます。時間が経過するほど、効率化が進み、質が高まります。

資格試験の勉強をするとき、理想は最初から質と量を両立させることです。広い範囲を深く理解することがもっとも望ましいです。

しかし、これは現実的には無理です。

なぜなら、勉強を始めてからしばらくの間は、理解を重視すると時間がかかって量をこなせず、量を重視するとわからない部分を調べる時間が取れないからです。

そのため、質か量かのどちらかをあきらめることになります。その際に、選ぶべきは、絶対に「量」です。

初学者の場合、テキストに書いてある用語がそもそも理解できません。最初に読んだときは、日本語であっても意味がよくわからず、戸惑います。

その際に、用語を一つ一つ調べながら読んでいくと、読み終えるのに相当な時間がかかるはずです。

難易度が高い試験ほど範囲は広くなり、用語も難解になります。

司法書士試験や公認会計士試験は、テキスト、問題集、参考書籍をあわせると、20冊以上を使うことになります。

積み重ねると1メートル近くになったように記憶しています。

それらの本を読む際に、1冊1冊、時間をかけて丁寧に読んだらどうなるでしょう。

あっという間に月日が経ち、試験本番の日を迎えてしまうことになります。 また、じっくり読んでいると、試験範囲を一周するには相当な時間がかかります。

そのため、同じテキストを再び開くころには、一度目に理解したことはすっかり忘れてしまっているでしょう。

つまり、最初から質を優先してもあまり意味がないのです。

これは、落ち続ける人が陥りがちな、よくあるパターンです。

しっかり理解してから先に進もう、と丁寧にテキストや問題集に取り組むうち、時間をかけすぎて逆に効率を落としてしまいます。

まずは試験範囲を「一周」する

従って、最初に取れる選択肢は一つだけです。

質より量を優先し、まず試験範囲を一周することを第一の目標にすべきです。

さらに言えば、読んでもよくわからないところはそのままにし、さっさと読み飛ばしてしまうことが効率的でしょう。

量を重視するといっても、質を軽視するわけではありません。

もちろん、わからない部分が多ければ合格は難しいので、試験本番までに穴を埋めるように、自信のないところを一つ一つつぶしていく必要があります。

何度も同じ論点を勉強していると、当然ですが理解が深まります。同じようにテキストに目を通しても、用語の意味や、関連する論点が自然に思い浮かぶようになり、書いてあることが自然に頭に入るようになっていきます。

つまり、量を優先するのは、質を高めることを軽視するのではなく、後回しにするということです。

肉体労働やスポーツの練習で、時に「体で覚えろ」と指導されることがあります。自然に理解が深まっていくのは、それに近い感覚です。

同じところを10回も20回も読んでいると、次第に「いい加減もう飽きた」という気分になってきます。そうすると、一度目はさっぱりわからなかった内容でも、するすると頭に入るようになるはずです。

私が公認会計士試験の勉強を始めてから合格するまで、約1年の時間がありました。

2013年7月上旬に司法書士試験があったので、同じ年の8月から勉強を始め、論文式試験を終えたのは翌2014年の8月中旬です。

最初は知らない単語が多く、テキストを読んでも何度も引っかかりました。

わからないところを読み飛ばしても、一周するのに20日ほどかかっていたように思います。

2回目は一周目より読みやすくなりました。

次第にわからないところ、引っかかるところが減っていき、何回も繰り返すうちに読むスピードが上がります。

最後は10日ほどで試験範囲を一周できるようになりました。

正確に数えてはいませんが、勉強開始から試験終了までに、20回以上同じテキストを読み、同じ問題を解いたと思います。

さすがに、短い間にそれだけ同じことを繰り返すと、ほとんどの論点はわかるようになります。

最初の二、三周は概念をつかむことに集中し、回数をこなすごとに、各論点の細部を詰めていくイメージです。

資格試験の勉強をするにあたって、前提知識がなければどうしても理解に時間がかかります。

立ち止まらず、まず量をこなすことが効率化につながります。

最初はどうしてもつらいのですが、ノルマを毎日こなしているうちにわからない部分が少なくなり、どんどん楽になります。

歯を食いしばって、まずは試験範囲を一周してみましょう。

試験本番の対策について

このように、順調に勉強を進められるようになったら、並行して試験本番の対策も行うことが必要です。

当然ですが、資格試験の合否は、本番の出来にかかっています。

どれだけ実力があったとしても、試験本番で失敗してしまえば、努力は水の泡です。

少し立ち止まって、「実力」とは何か考えてみましょう。

格闘技には、「道場番長」という言葉があります。

練習では誰にも負けないのに、試合だと実力を発揮できず、さっぱり勝てない選手のことをいいます。

本番になると緊張してしまう、環境が変わってパニックになってしまう、興奮してすぐにスタミナが切れてしまう、など原因は様々です。

このような選手は強いでしょうか、弱いでしょうか。

厳しい考え方になるかもしれませんが、強いとは言えないと思います。

一般的に、スポーツの目的は勝つことで、試合の成績で評価されます。いくら練習で強くても、その事実は第三者に伝わらないので、「弱い」というレッテルを貼られてしまうでしょう。

一方で、サボり癖があって練習でやられてばかりでも、試合で連勝を続ければ、誰からも強い選手として認識されます。

資格試験も、最終的な目標は合格することです。

確かに、勉強を続けていればその分野について専門的な知識を蓄積できます。ですが、最終的に合格しなければ、その分野のエキスパートであるという客観的評価は得られません。

一方で、国家資格は、ライセンスを保持していると、専門家であると国のお墨付きを得られます。

試験に受からなければ、いくらその内容を勉強したとしても、ただの詳しい人に過ぎません。合格するという事実に大きな意味があります。

模試の活用の仕方

それでは、本番に強くなるにはどうしたらよいでしょう。

個人差もあるので、こうすれば絶対に大丈夫、という絶対的な正解はありません。

逆に、「失敗するパターンをあらかじめつぶしておく」と考えるべきです。

ですから、なるべく本番と近い環境で、模試を受けることが望ましいのです。

本番と同じ環境で何度も模試を受けると、自分に特有の失敗が見えてきます。

たとえば、私がよくやっていたのは問題の読み間違いです。

「正しいものを選べ」という問題で誤ったものを選んでしまったり、「小数点2桁までで解答せよ」という指示を読み飛ばして、小数点以下を四捨五入して解答したりすることがありました。

答えがわかっているのに間違えるのはとてももったいなく、合否を分ける可能性もあります。

これらは本番では絶対にしたくないミスです。

整理すると、模試の目的は大きく分けて三つです。

一つ目は、緊張しないように試験の雰囲気に慣れること、二つ目は客観的な現在の実力を測定すること、最後の一つが、自分が起こしてしまいがちなミスを把握し、本番で行わない方法を確立する、です。

そして、失敗には、ダメージを負うものと、そうでないものがあります。
たとえば、新規ビジネスを立ち上げて失敗したら、お金が減ってしまいます。

出資を受けていた場合は、出資者からの信用を失うこともあります。

スポーツの試合に負けたら、その後のチャンスが減ったり、プロであれば収入が減ったりすることがありえます。

それに対して、資格の模試は失敗することのダメージはまったくありません。むしろ、本番でするかもしれない失敗を先にでき、修正の機会が得られます。

また、なるべく本試験に近い環境を再現することで、緊張が軽減されますし、忘れ物や交通障害など、予想外のトラブルに対処する練習もできます。

いいことばかりで、デメリットは多少の金銭的な負担があることくらいです。

模試の受験料は高くても数千円に収まることが多いので、合格したあとのことを考えれば安い投資です。

チャンスがあれば可能な限り受けるべきです。

あえて失敗を繰り返すことにより、成長の機会を得るチャンスだと割りきりましょう。

絶対にやってはいけないのは、模試でズルをすることです。

一般的に、模試は予備校などだけでなく、自宅でも受けられます。解答を事前に受け取れる場合もあるので、やろうと思えば、答えを先に見ることもできます。

また、自宅で受けるなら、制限時間を超えて問題を解くこともできます。
好成績を取って自慢するために、このような不正をする人がいます。

しかし、これでは正当な実力を測ることはできませんし、緊張を和らげる方法も見つかりません。

そもそも自宅で受けるのが間違いです。

本番の練習をできることが模試のメリットであるにもかかわらず、それを放棄することになります。

よっぽどの理由がない限りは、本番と同じ環境に近づけ、会場で受けましょう。

「失敗は成功のもと」の精神

結果が出ないと傷つき、落ちこんでしまう人もいるかもしれません。

ですが、資格試験に限らず、最初からうまくいくことなどほとんどありません。

私の経験でも、試験はもちろん、格闘技も、商売も、最初は失敗続きで、馬鹿にされたりして悲しい思いをしました。

それでも、適切な努力を続けていれば、昨日より今日、今日より明日の状況はよくなります。

それは階段を上るプロセスに似ています。

歩き続ければ、いつかゴールにたどり着きます。

何かに挑戦するときは、あきらめることが最大のリスクです。その瞬間に失敗が確定し、リターンを得られなくなるからです。

失敗は成功のもと、の精神を忘れず、一歩ずつ合格への道を歩んでいきましょう。

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アルファポリスビジネス編集部

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