25年間「選挙で当選見込みない人も追う」彼の熱意 選挙を取材し続ける、畠山理仁さんに話を聞く
東洋経済オンライン / 2023年11月15日 13時0分
25年間選挙の現場を取材する、フリーランスライターの畠山理仁さん(50歳)。2022年7月の参院選・東京選挙区では、立候補した34人全員への取材を試みる。「立候補者全員」に会わないと記事にはしないと公言し、「残る1人」に会うためだけに片道2時間半かけ車を運転。自身の選挙区を留守にしながら他候補の応援に奔走する、ある候補者に会おうと長野に向かう――。
『週刊プレイボーイ』誌で大川豊総裁(大川興業)が政治の舞台裏を取材する連載をサポートしたことがきっかけとなり、「泡沫候補」(当選圏外にいる立候補者)とされる人に話を聞く面白さにはまっていったという畠山さん。
そんな彼にカメラを向けるのは、『なぜ君は総理大臣になれないのか』(大島新監督)、『劇場版センキョナンデス』(ダースレイダー、プチ鹿島共同監督)などをプロデュース、選挙ドキュメンタリーブームを牽引してきた前田亜紀監督だ。選挙にとりつかれ「選挙バカ」を自認する畠山さんに密着したドキュメンタリー『 NO 選挙,NO LIFE』が11月18から全国公開される。今回畠山さんに、カメラを向けられている間何を考えていたのか、なぜ選挙取材を続けるのかを聞いた。
世の中は面白人であふれている
――ご自身を撮影された映画の完成版を見て、率直にどう思われましたか?
映画を観た感想ですか? このひと(撮られている自身を)、何だろう!?とは思いましたね。そもそも自分には特別な才能はない。没個性の、つまらない人間だと思っているので。いろんな人に話を聞きたいと思ったのがライターの世界に入ったきっかけなんです。自分では思いつかないことを教えてくれる人が、世の中にこんなにいたんだと思うと楽しいですよ。
インタビューの面白さでいうと、取材を受け慣れている有名人の答えはだいたい予測がつくんです。だけど、会ったことのない人に話を聞きにいくというのは、最高にドキドキするじゃないですか。この人は、いったい何を話すんだろうか。毎回が宝探しですよ。
――宝探し、ですか?
そうです。しかも選挙にはハズレがないですから。
――ハズレなし?
そうです。そうです(笑)。
立候補には相当なエネルギーが必要
――畠山さんは、20年間続けてきた選挙取材の成果を『黙殺』という本に書かれ、開高健ノンフィクション賞を2017年に受賞されています。たいていのライターだとそこを区切りに次のテーマを探されるのに、その後も選挙の取材を続けられています。選挙取材の魅力はどこにあるのでしょうか。
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