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「自由にやってきた40~50代」に何も残らない理由 地味でも自分に「軸」を持ち人とつながろう

東洋経済オンライン / 2023年11月16日 9時0分

「軸を持つ」とは、たとえば私の場合なら「ものを書くこと」でしょうか。テーマは時代によってどんどん変わります。当初はITが大きなテーマでしたが、テクノロジーがカバーする領域はここ20年、SNSやAIの登場で格段に広がりました。その広がりに自分も合わせていっているという感じです。

もちろん中学生や高校生の段階で、何か明確にやりたいことが見つかっている子は少数でしょう。「ずっとクリエイティブな仕事がしたい」「ものづくりがしたい」といった漠然としたものでいいと思います。いずれにしても自分の中に何かしら軸がないと、何をやっていいかわからない。社会に出ても、結局はリスキリングなどという世の中の流れに振り回されるだけになってしまいます。

本書の中で特に大事だと私が感じたのは、「無形資産」の話です。無形資産には、スキルなど所得を得るための生産性資産、心身の健康などの活力資産、変化に柔軟に対応する変身資産などがありますよね。このうちの生産性資産においては、スキルを身につけるためにハードワークもいとわない、という時期があってもいいのではないでしょうか。

私にとってそれは、12年間の新聞記者時代です。めちゃくちゃつらい労働でしたが、その間に体に染みついたインタビュー能力や原稿を早く書く能力は、いまだに大いに役立っています。死ぬほどつらい労働をさせられたからこそ、体が覚えているのです。

もちろんブラック企業を推奨しているわけではありません。しかし一方で、多くの企業がホワイト化しすぎて、若手にとっては物足りなくなっているという現実もあります。

俯瞰して自分を見ることの重要性

ハードワークとブラック労働の境界線は何かといえば、逃げ場があるかどうかです。精神的に追い詰められて、なおそこにしかいられない。この世界以外に自分がいることが考えられない。こういう状態になってしまっては、心身共に疲弊し、最悪の場合は死を選んでしまいます。

だから逃げてもいい、逃げ場を作るというのは、実はとても大事なことです。いまどき転職なんて特別なことでも何でもない、いつでも外に出ていいんだと認識することができるかどうか。

そのうえで、「今はこのスキルを身につけるために、多少きつくてもしょうがない」「ここは修羅場だ、しかし今が正念場だ」と思うことです。その意味で、自分を俯瞰して見る目を持つことは非常に重要です。

これは、地図を読むことに通じるものがあります。鳥の目線で俯瞰して見ることができれば、自分がいる会社の外にも世界が広がっていることがわかります。目の前の曲がり角を曲がり損なっても、次で曲がればいい。あるいはいったん戻ってみてもいい。あるいは10年先の自分を想像して、今の仕事が本当に10年後の自分にとって必要かを検証してみることもできます。

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