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新NISAで気をつけたい長期投資に向かない投信 セールストークに惑わされないためには

東洋経済オンライン / 2023年11月29日 16時0分

しかし、株価はどうだったのかというと、2000年に入ってITバブルが一気に崩壊し、IT関連銘柄の株価は軒並み大暴落しました。前出のヤフーは、2000年2月22日につけた最高値が1億6790万円で、ITバブル崩壊後の2001年9月4日につけた最安値は182万円でした。

これを受けて、IT関連投資信託の基準価額も大暴落しました。その結果、多くのIT関連投資信託が運用を継続することができなくなり、いつの間にか大半が償還に追い込まれていきました。

このようにテーマ型投資信託は、仮にそのテーマが長期的なものであったとしても、マーケットの値動きに翻弄された挙句 、投資信託の運用自体が短命に終わるケースがあるのです。したがって、テーマ型投資信託は、長期的な資産形成には向いていないとしてもいいでしょう。

投資信託のなかには、非常に高い分配金を提示しているものがあります。分配金とは、前回の決算日の翌営業日から、今回の決算日までの運用によって得られた利益の一部などを、投資信託の保有者に対して還元するものです。

分配金を受益者に支払う時は、投資信託に組み入れられている株式や債券を売却して現金をつくらなければなりません。これが運用の効率を大きく削ぎ落としてしまいます。

長期投資のためには、むしろ分配金をできるだけ支払わずに運用するものが適しています。そうすれば複利が効いた投資成果が期待できるからです。たとえば、1年間で、基準価額が1万円から1万2000円まで値上がりした投資信託があるとしましょう。2000円の値上がり益は組み入れている株式などの値上がり益や配当金などによるものです。

「皆さんがこの投資信託を保有し続けてくれたおかげで2000円の運用益が確保できました。感謝を込めて全額を分配したいと思います」と投資信託会社が判断して、分配金にすることもできますが、その分配金を払うと、基準価額は1万円に戻ってしまいます。つまり、決算日の翌営業日から、またゼロスタートを切らなければなりません。

でも、この2000円を分配せず、温存しておいたらどうでしょうか。

たとえば、2000円のうち、1000円分に相当する株式などを売却して現金化して、他の将来有望な銘柄を組み入れるための資金にすれば、来期の決算日までに、さらにいい運用成果が期待できるかもしれません。

高い分配は長期投資に適さない

もちろん絶対にそうなるとは言い切れませんが、投資信託に組み入れられている株式や債券の一部を売却して現金化し、受益者に分配すると、投資信託の運用効率が長期的に低下してしまうのです。

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