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意外な盲点「日本で今、家が足りない」問題の真相 空き家問題だけではない!問われる住宅政策

東洋経済オンライン / 2023年11月30日 12時0分

日本で「家不足」の問題が深刻になっています(写真:PIXTOKYO/PIXTA)

日本の総人口は減少し始めて久しい。そうなると、家は余り始め、空き家が問題になりそうなものである。空き家が多いなら、持ち家価格も家賃も下がると考えるのが一般的だろう。

しかし、実態は違う。持ち家価格は高騰し、家賃も値上げしている。そうなるのは家が足らないからである。これに早く気付かないと、残酷なまでの住宅コストの高いインフレ率に悩まされることになる。

まず、持ち家の話から始めよう。全国的にマンション価格は2013年以降の10年間で7割以上上昇した。その理由は、金融緩和に負うところが大きい。お金を刷ると銀行は持て余した資金をどこかに融資しなければ逆ザヤになってしまう。

こうした場合、担保の取れる不動産に融資することが増える。融資された資金は用地取得につぎ込まれ、事業用地の価格は高騰し、不動産はインフレする。これは金融緩和時には常に起こっていたことである。この間、建築費が上昇したことも価格高騰に拍車をかけた。

減っていく新規供給戸数

価格が上がると、新規供給戸数は減っていく。買える人が少なくなるからだ。首都圏の新築マンション供給戸数は年間9万戸だったときもあるが、今や3万戸を割る水準まで減っている。以前と比較すると、「希望の立地には買える新築マンションが出てこない」のである。

結婚すると一定期間で持ち家を購入したい世帯が増える。しかし、持ち家は高くて買えない人が増えている。そうなると賃貸居住のファミリー世帯が増えることになる。しかし、同じ面積なら、持ち家のローン返済より家賃の方が月々の支払額は多くなる。

こうなる理由は、持ち家(自宅)より賃貸(不動産投資)のローン金利と税制が雲泥の差で高いからだ。ゆえに、常に家賃の方が割高になる。同じ月の支払い額なら、おおよそ2割の面積差が生まれることになる。

住宅ローンより割高な家賃は需給バランスで決まる。上記の様に、新築マンション供給戸数が9万戸から3万戸に減ると、6万世帯も新築購入世帯が減ることになる。この中には、中古マンションを購入する人もいるだろうし、戸建てを買う人もいるだろう。とはいえ、買えない人は増えていることは確かで、国勢調査の持ち家率は最近5年で大きく低下している。

こうして増えた賃貸需要が供給を上回ることで、賃貸住宅の稼働率は上昇する。持ち家価格が高騰する→ファミリー賃貸層が増える→ファミリー家賃が高騰するというメカニズムとなる。ファミリー世帯にとっては、買うのも「価格が高い」が、借りるのも「家賃が高い」と思うことだろう。

単身世帯も家賃上昇

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