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「走るオフィス」に変貌した、のぞみ号の車内空間 ビジネス席に会議用ブース、EXサービスも進化

東洋経済オンライン / 2023年12月4日 7時10分

10月末には、新幹線が開業した1964年以来続けてきた、車内のワゴン販売を廃止した。背景にあるのは、駅構内の売店やコンビニで事前購入する乗客が増え売り上げが落ちたことや、販売員などが人手不足で集まらなかったことだ。

過去には新幹線にも食堂車やビュッフェがあったが撤退。車内販売も一般業者が手がけていたのを、JR東海の関連会社が担っている。航空機との競争でスピード化が進み、平均乗車時間も短くなったからだが、ゆっくり旅情を楽しみたい向きには寂しいかもしれない。

11月からはグリーン車のみだが、ワゴン販売に代わり、モバイルオーダーやサポートコールのサービスが始まった。モバイルオーダーでは席から乗務員を呼び飲食物を注文する。駅ホームには”カタイアイス”などの自動販売機を拡充。これも人員やスペースの無駄を減らし、できる限り有効活用して採算を高めたい姿勢の表れといえよう。

料金も需給に合わせてメリハリつける

料金も需給に合わせ、よりメリハリをつけている。すでに今年4月からはほかのJR各社と合わせ、東海道新幹線の指定席特急券にあるシーズン別の価格差を拡大した。年末年始やゴールデンウィークなど「最繁忙期」は通常期より400円増し、「繁忙期」は200円増しにする。その一方、「閑散期」は200円を割り引く。最繁忙期と閑散期の差は600円に開く。JR東海の場合、年末年始の最繁忙期は12月29日・30日と1月3日・4日で、JR東日本の12月28日~1月6日よりも細かく日程を設定し、顧客ができるだけ柔軟に対応できるようにした。

いずれは新幹線でも、航空機やホテル、テーマパークなどのように、より柔軟で本格的なダイナミックプライシング(変動価格制)が俎上に載せられる可能性もある。今年から年末年始の東海道・山陽新幹線の「のぞみ」が全席指定となるが、自由席狙いでホームに人があふれる風景も見られなくなるかもしれない。

最大効率を追求したいJR東海の大きな武器は、会員・登録者数が1000万人超に膨らんだ「EXサービス」だ。

2001年にインターネット予約サービス「エクスプレス予約」としてスタート。2008年には専用ICカードによる「EX-ICサービス」も開始し、SuicaやPASMOなどと同じように、改札機にタッチするだけで新幹線に乗れるようにした。

ネット上のシートマップで空席を確認して事前に希望の座席を買えるうえ、年会費1100円を払えば、発券前なら何度でも手数料なく変更できる。たまったポイントでグリーン車へのアップグレードも可能で、出張族のビジネスパーソンに支持されていった。2017年には、年会費不要で既存の交通系ICカードも使えるようになり、現在ではネット予約の比率は半数を超えている。

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