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「11歳年下の夫」と月10万円で暮らす彼女の人生 旅行先で出会ったトルコ人と結婚した彼女の選択

東洋経済オンライン / 2023年12月10日 14時0分

暗黙の了解で恋愛が禁止されていた日本の音楽大学とは異なり、フランスの音楽学校は「音楽は人生そのもの。恋愛を含めてすべて知らなければ表現できない」という考え方。影響を受けた美紀子さんも留学生仲間かつ音楽家仲間の男性と3年間ほど交際した。

「音楽に関しては高め合えるような関係でした。でも、結婚の話は出ませんでしたね。音楽家同士だと視野が狭くなるとお互いに感じていたのかもしれません」

そして、トルコ旅行中にイスタンブールのバザールでハリルさんと出会う。英語や片言の日本語を使って美紀子さんに話しかけてきた多くの商人の中の一人だという。

「最初から彼はちょっと違うな、モノを見る力と売るセンスがある、と思いました。私の好みに合わせて、ポイントをずらしていない商品を英語で提案してきたからです。彼のほうも音楽家である私に興味を持ったようで、連絡先を交換。4カ月後に再びトルコを訪れたら、彼は仕事を休んで友人として旅行をアレンジしてくれました。それでいい感じになり、お付き合いするように。私は日本に戻っていたので、直接会えるのは年に3回ぐらいでしたね。タイなどの第三国で落ち合うこともありました」

ハリルさんはイスタンブール出身ではない。隣国との国境近くにある田舎町出身で、畑作や牧畜を営む一族は結びつきが強く、日本人どころかクルド系ではないトルコ人すらもコミュニティ内には入りづらいという。

「いとこ同士の結婚も普通にあり、昔ながらの家父長制です。女の人が町の外に出ることは少ないので、彼のお母さんはトルコ語を話せません。その必要もないのでしょう」

視野が広がるどころの話ではない。完全に未知の世界である。探究心旺盛な美紀子さんは大いに興味を持ったが、ハリルさんの家族の反対を押し切ってまで結婚しようとは思わない。交際していることだけはお互いの両親に報告することにした。交際が始まって5年後のことである。

トルコ人には親日家が多く、ハリルさんの両親も最初から好意的だった。「トヨタ。頑張り屋。蛇を食べるのか?」などの会話で和やかに交流。8人きょうだいの4番目であるハリルさんには、美紀子さんのいないところで「11歳も年上だというからどんなおばあさんかと思ったけれど、意外と若い」という感想を伝えたという。

今度は日本でハリルさんを美紀子さんの両親に紹介する番だ。ともに教員だった両親は美紀子さんの自主性を尊重し続けていたが、実際は長女が1人で年を重ねていくことを案じていたらしい。人あたりがいいハリルさんは美紀子さんの両親の前でも如才なさと可愛げを大いに発揮して、「この子ならいいんじゃないか」というお墨付きをもらった。

夫婦二人ならば10万円もあれば暮らしていける

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