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「11歳年下の夫」と月10万円で暮らす彼女の人生 旅行先で出会ったトルコ人と結婚した彼女の選択

東洋経済オンライン / 2023年12月10日 14時0分

ハリルさんは学生時代にイスタンブールで兄と共同生活をしていたことがあり、比較的家事ができる。料理は美紀子さん、掃除はハリルさんというゆるい分担ができている。家計は毎月同じ金額を共同口座に入金して賄っている。

「最近は物価が上がっていますが、夫婦二人ならば10万円もあれば暮らしていけます」

子どもの頃は牧羊の手伝いをしていたというハリルさん。のんびりと穏やかな性格で、演奏会前にはピリピリしている美紀子さんを不思議そうに見ている。

「オペラを観たことも劇場に行ったこともないそうです。芸術家がどのように時間を捻出して1人で芸を磨いているのかも興味深いのだと思います」

美紀子さんから見たハリルさんも新鮮だ。常に仲間と一緒にいて、みんなとコミュニケーションをとりながら商売を続けていることに関心が尽きない。

基本的に違いを認め合い、尊敬し合っている2人。ただし、文化や性格の違いでぶつかることもある。

「トルコ人は全体的に時間にルーズだと思います。相手に申し訳ないとすら思っていないのです。彼は特にひどくて、『20分ぐらい遅れる』と言ってから結局1時間ぐらい遅れて来たりします。小さな工房を経営していて、職人を4人雇っているのに出勤管理をまったくしません。納期を守れないこともあります。私が代わりにうるさく注意していたら、彼から『みんなのストレスになるのでやめてほしい』と言われてしまいました。それでいて日本への事業進出を検討しているんです。ジュエリーのセンスはよくても、留め具が甘かったり納期を守れなかったりしたら日本では通用しないと教えています」

相手を思う気持ちと思いやりを察する心があれば大丈夫

ハリルさんのほうが気になっているのは、美紀子さんの両親が年老いてきたことだ。トルコに呼び寄せて一緒に住むか、もしくは自分たちがしばらく日本で住んで両親の面倒を見るか。どちらかにするべきだと主張している。

「親は私たちの世話になる気はなく、将来的には介護老人保健施設などに入ってもいいと言っています。彼に伝えたらびっくりしていました。イスラムの教えでは、親をそういう施設に入れる人は地獄に落ちるのだそうです」

ハリルさんが工房の日本進出を考えているのは、美紀子さんの両親の近くに住むことを視野に入れているからだ。仕事に家族を合わせるのではなく、家族に仕事を合わせる発想なのだろう。

日本人同士の結婚であっても「文化の衝突」はある。美紀子さんとハリルさんの間にぶつかり合いがあるのは当然だ。でも、相手を思う気持ちと相手からの思いやりを察する心があれば何事も乗り越えられる。

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大宮 冬洋:ライター

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