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平気で「安い酢」を買う人が知らない超残念な真実 なぜ「値段差」がこれほどあるの?驚きの裏側

東洋経済オンライン / 2023年12月15日 9時15分

最初に、米を蒸して、麹を加えます。麹が米のでんぷんをブドウ糖に変え、そこに酵母を加えると、アルコールに変わります。ここでできるのが日本酒です。

この酒の表面に「酢酸菌」を浮かせて静かに置いておきます。すると、時間の経過とともに、「酢酸菌」がじわーっと表面から酒を酢に変えていくのです。

酢酸菌を上面に乗せるのは、発酵の過程で酸素がたくさん必要だからです。

すべて微生物まかせの発酵ですから、酢になるまで通常1年はかかります。この間に微生物が醸し出す、有機酸の複雑な風味が生まれるのです。

ところが、この方法よりもっと早くできる方法があります。

それが「深部(通気攪拌)発酵」と呼ばれる方法です。

これはお酒を入れたタンクの下部に空気を入れて攪拌することで、強制的に「酢酸菌」の活動を促すのです。

この方法だと、わずか1週間でお酢の出来上がり。もちろん大量生産できるので安く上がります。

さらに「コストダウン」するために…

お酢の主な成分は「酢酸」ですが、「グルコン酸」「クエン酸」などの有機酸なども含まれています。

これらすべての酸を「酢酸」に換算し、お酢に含まれる酸の割合を表したものを「酸度」といいます。

「伝統的なつくり方」でつくったお酢の酸度は4~5%ですが、「深部発酵」でつくれば酸度は10~15%になります(強制的な発酵=アルコールを酸化させて酢酸をつくるため酸度が上がる)。

これを薄めて商品にすればいいのでさらにコストダウンが可能です。

この「深部発酵」で短時間でつくったお酢は、どうしても「ツンとしたお酢」になりやすいのです。

時間をかけて熟成させた「お酢のまろやかさ」は出せません。

この「醸造酢」とは別に、もっとお手軽で安くできる「合成酢」というものがあります。

「もっと安いお酢」はどうつくる?

「合成酢」というのは、工業的につくった「酢酸」などの希釈液に「醸造酢」を60%以上加えて砂糖や添加物で味を調えたものです。

今はあまり多くは生産されていませんが、沖縄など一部の地域では流通しているようです。

ちなみにお酢の話をすると、非常によく聞かれるのが「穀物酢って何ですか?」「醸造酢と穀物酢はどう違うのですか?」という質問です。

「醸造酢」に関しては、原料は何であっても合成されたお酢以外のものはすべて「醸造酢」です。「穀物酢」については次回の記事でじっくり述べさせていただきます。

私のアドバイスを受けたAさんは、思い切って伝統的な製法(上面発酵)でつくられたお酢を取り寄せてみたのだそうです。

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