MS、GoogleにMeta、Amazon参戦も「生成AI」の勢力図 日常使いから企業向けまで各社ガチンコ対決
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 7時30分
生成AIはときに誤った情報や人種・性的偏見、さらには「幻覚」と呼ばれる捏造情報などを返してくる。これがスンダー・ピチャイCEOをはじめグーグル経営陣が生成AIの事業化を躊躇した主な理由とされる。これら生成AIの諸問題が長年培われた同社の信用やブランド・イメージを傷つけることを危惧したのだ。
しかし先行するChatGPTの勢いが止まらないことを確かめたグーグルは、徐々にではあるが生成AIの開発・商品化を加速させていった。ChatGPTに対抗するチャットボット「Bard」のリリースを手始めに、今年夏場からは主力の検索エンジンにもPaLMなど自社製LLMによる対話型AIの機能を組み入れている。
その如何によらず、検索エンジン市場でグーグルの地位が揺らぐことは当面なさそうだが、その「検索」という市場自体が生成AIに侵食されてしまう危険性はある。これについて最近、アメリカのIT関係者は「AIがインターネットを食べる(AI eats the Internet)」という表現を使うことがある。
生成AIはウィキペディアをはじめインターネット上の膨大なデジタル・データを吸収し、それを機械学習することで成長してきた。特に最近のChatGPT Plus(有料版サービス)では、自動的にマイクロソフトの検索エンジン「ビング」と連携して、リアルタイムのウェブ情報も回答として提示できるようになった。
これはユーザー側の姿勢の変化も引き起こした。従来、仕事や日常生活でわからないことがあれば、検索エンジンやウィキペディアなどで調べてきたが、最近はChatGPTに質問して直接答えを得ることが多くなってきた。その分、検索エンジンの利用回数は減ることになる。
もちろん、それを具体的な数字で裏付ける調査結果などはいまだ発表されていない。しかしメディアやIT関係者の中には、体感的にそうした傾向を指摘する人が増えている。つまり従来の検索エンジンやホームページなどの代わりに、生成AI(対話型AI)がネットにアクセスする際の標準ツールになる可能性が出てきたと言うわけだ。
グーグルも検索エンジンに生成AIを導入しているが、あくまでも「検索エンジン」という枠組みの中での改良にとどまっている。同社は最近、テキストから音声、画像、動画まで、いわゆるマルチ・モーダル方式の新型LLM「Gemini」を発表するなど技術面での取り組みを強調しているが、長い目で見れば本当に必要なのは検索エンジンなど主力事業の根本的な見直しや再編に着手することかもしれない。
オープンソース戦略で追い上げを図るメタ
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