MS、GoogleにMeta、Amazon参戦も「生成AI」の勢力図 日常使いから企業向けまで各社ガチンコ対決
東洋経済オンライン / 2023年12月20日 7時30分
グーグルとは対照的にメタ(旧フェイスブック)は生成AI(LLM)の製品化で先走った結果、むしろ2023年の生成AIブームには乗り損ねた感がある。2022年の夏から秋にかけて同社がリリースした「ブレンダーボット」や「ギャラクティカ」など一連の対話型AIは、数々の差別発言や誤情報などをまき散らした結果、ユーザーの間では散々な評判で、メタはリリース早々にそれらのサービスを事実上廃止する羽目となった。
その直後にOpenAIがリリースしたChatGPTが世界的ヒットを記録して以降も、しばらくは大失敗の痛手から、メタは生成AIの製品化には及び腰だった。それでもChatGPTの勢いが止まらないのを見たメタは今年夏頃、それまで社内で長年開発してきた「Genesis」と呼ばれるLLMを改良して「LLaMA」と呼ばれる製品名でリリースした。
メタによれば、LLaMAはいくつかの指標においてOpenAIのGPT-4に勝るとも劣らないとされる。が、その最大の特徴はいわゆる「オープンソースコード」、つまり第三者が自由に利用・改変できるコンピュータ・プログラムとして提供されたことだ。
こうしたオープンソース戦略は、IT業界でメタのような後発組がOpenAI/マイクロソフト連合のような先発組に追い着くための手段として用いられる。もっともメタは当初LLaMAのソースコードを完全にオープンというより、むしろ大学等のAI研究者ら4000人に限定してリリースしたが、その後10万人以上のユーザーから「LLaMAを入手したい」とのリクエストがあったという。
ただ、そこには悪質なハッカーなどがLLaMAのように強力なオープンソース・コードを入手・改変してフェイクニュースや差別発言などを垂れ流す悪玉チャットボットを開発するかもしれない、などの危険性が指摘されている。
実際、LLaMAが4000人に限定リリースされてから間もなく、そのソースコードがオンライン掲示板の「4chan」にアップされ、実際には誰でもアクセスしてこれを改変できる状態になるなど、第三者による悪用の危険性は現実味を帯びてきた。
LLaMAのような基盤技術の開発と並行して、メタはその技術を応用した多彩なAIアプリも提供し始めた。9月には、著名なプロ・スポーツ選手やミュージシャン、インフルエンサーなど各界セレブを生成AI技術で模倣したアバターを開発し、これらを傘下のインスタグラムやWhatsAppなどソーシャル・メディア上で利用できるようにした。
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