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世界はなぜ、「五ノ井里奈さん」を絶賛するのか 久しぶりに日本のイメージ改善させるニュース

東洋経済オンライン / 2023年12月21日 13時30分

18歳から30歳まで自衛官だったレズビアンの女性、山川万理恵さんは自衛隊に入った理由を「私は人の役に立ちたかったし、海と空が好きでした。だから海上自衛隊の航空機搭乗員になったのです」と話す。

ところが、自衛隊では「みだらな言葉には耐えなければなりませんでした。男性たちは、私が女性だから待遇がいいのだと疑っていました。女性には向かない仕事だと、面と向かってはっきり言われたこともあります。上司に報告しましたが、効果はありませんでした」。

山川のセクシャリティは状況をさらに悪化させた。

「セキュリティを理由に休暇中であっても外出は許されなかったし、結婚しているか、30歳以上で息子が2人以上いなければ基地外に住むことも許されませんでした。私は同性愛者なので、結婚することもパートナーを持つことも法律上認められておらず、こうした待遇を受けることはできませんでした」と、山川は振り返る。

「自衛隊では女は耐えなければならないことが多いから、男よりタフになる」と山川のパートナーは話す。パートナーとの時間を過ごすことができなかった山川は、結局自衛隊を途中除隊し、キャリアを変えてシェフになった。

彼女は今、フランスの一流ホテルで働いている。もし自衛隊が今回の件で変われるのならば、山川のような優秀な人材の流出も防げるようになるかもしれない。

日本のイメージの改善にもつながる

国会議員の多くはこの事実を知らないかもしれないが、日本の世界における存在感は今やスウェーデンやポルトガルのような中所得国並みである。

私はフランスの大手紙の特派員を務めているが、日本について話題となるのは自民党の裏金問題や大阪万博のような不祥事や問題ばかりだ。大手の外国メディアは東京支局を次々と縮小・閉鎖している。フランス人のほとんどは今の首相の名前も知らないだろう。

だが、このような希望がないという世界的に抱かれている日本のイメージは、このところ、勇気ある女性たちによって修正されている。

その1人はジャーナリストの伊藤詩織だ。数年前、彼女はセクハラとの戦いでイギリスBBCやアメリカの『タイム』誌などの世界の大手メディアで報道された。彼女の事件を描いた映画『ブラックボックス・ダイアリー』は、世界で最も注目される映画コンペティションの1つであるサンダンス映画祭に出品されたばかりだ。

そして、自国の政府から鼻であしらわれた五ノ井は、『タイム』誌から世界の未来のリーダーの1人に選ばれ、こう紹介されている(記事の執筆者は伊藤詩織である)。「日本社会では、性暴力について発言することは長い間タブーだったが、里奈の勇気はすべてのサバイバーに門戸を開いた」。

改革の道が日本にあることを示した

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