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東武100系「元祖スペーシア」知られざる整備現場 部品外してメンテナンス、出場時「いちご色」に

東洋経済オンライン / 2023年12月21日 6時30分

工場棟は幅75m、奥行きが312mの巨大な建物。車両の分解を伴う重要部検査(4年または走行60万km)、全般検査(8年)をグループ会社の東武インターテックが担当する。工場内はレールの間を動く自動搬送装置が車輪を押して車両や台車を移動させるほか、無人搬送車が重たい部品を運ぶなど、自動化が進んでいるのが特徴だ。

今回は重要部検査。スペーシアの場合は入場から出場まで計11日間を要する。その前段階でシートやカーペットの張り替えなどを実施する。入場時には、床下自動気吹装置の中を通り、時速252kmの風で付着したホコリやゴミを吹き飛ばす。その後、アーチ型クレーンで車体と台車を分離。台車は主電動機(モーター)を取り外し、台車洗浄装置で「丸洗い」する。

工場内では台車・空制・回転機・電機の4つの職場に分かれて整備・修繕。台車職場は輪軸や台枠、空制職場はブレーキ弁やドア装置、ワイパー、回転機職場はモーターや電動発電機、電動空気圧縮機、電機職場は運転台や断流器、制御器などを担当する。

台車職場の技術職場長、須藤裕志さんはアーチ型クレーンでの上げ下ろしについて「後ろの職場へバトンを渡す最初の作業のため、とくに慎重になる」と説明する。クレーン操作を担当する技術員の荒川亮太さんは「1つのミスが大きな事故につながるので誤動作がないように指差確認をしながら作業をしている」と話す。

「地味だが重要」な仕事

空制職場の技術職場長、守家圭一さんは「地味ではあるが、きちんとブレーキがかからないと電車は停まれない。重要な部分を担っている」と自負する。100系のワイパーやプラグドアはとくに手入れに苦労するという。主任の寺門歩さんは「床下の狭くて汚いという人が嫌がる場所で、パパッと交換作業をこなしていくのは、やっていて楽しい」と語る。

回転機職場の技術職場長、工藤亨さんは「100系は交流モーターなので直流モーターに比べてメンテナンスの作業量が少なく、故障しにくいメリットがある」と指摘する。班長の芳賀洋介さんは「全部で14種類のモーターを扱っていて、部品や治具、道具が違うので注意を払っている。100系のモーターは長距離を走行しスピードが出せるように当時の最新技術が用いられたと思う」と話す。

電機職場の技術職場長、宮野稔さんは「細かい調整などの作業が中心で、神経を使うことが多い仕事」という。技術員の廣澤秀朗さんは「神経を使う分、うまくいったときの達成感も大きい。整理整頓をする習慣はプライベートにも表れる」と明かす。

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