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「ポスト合弁時代」で岐路に立つ日本車メーカー ガソリン車時代に築いた地位ではもう戦えない

東洋経済オンライン / 2023年12月29日 12時10分

一方、日本勢もBEVを投入して巻き返しを図っているが、現状は価格競争力が弱く、走行性能や走行フィーリングでも、アメリカ・テスラや中国新興勢に太刀打ちできない状況だ。日系BEVの中国販売台数は、2023年に約8万台となると見られるが、日本車の中国販売に占める割合は2%に過ぎない。

また、BYDを筆頭とする中国勢プラグインハイブリッド(PHEV)の価格破壊が、日本車の競争力を一気に脅かしている。

日系自動車大手は、コストダウンとブランド力の維持を意識しながら、ガソリン車市場で残存者利益の獲得に注力。動力源で差別化を図ってきたユニークなガソリン車ブランドにとっては、厳しい争いが迫られている。

三菱自動車は2023年10月、保有する広汽三菱汽車の株式を1元の対価で、中国合弁相手広州汽車集団に譲渡し、中国撤退を余儀なくされた。2018年にスズキが譲渡した「長安スズキ」(スズキと長安汽車の合弁)に続き、「乗用車事業1元」の日系第2号になった。

年間20万台の生産能力を持つ三菱自動車の長沙工場は、約3000人の従業員を抱えている。「無償の形で工場を譲渡し、今後広州Aions(広州汽車のBEV子会社)のBEV生産に転用できれば、地域雇用への影響を最小限に抑える」と地場自動車メーカーの幹部が指摘した。

三菱自動車の中国事業撤退は、サプライヤーにも影響を与えている。金型費を含む部品・部材の未払金について、合弁相手の広州汽車は地場サプライヤーに対して金額の45%程度を支給し、日系サプライヤーにも同様の水準を提示。「国有大手と交渉の余地はない」と、日系サプライヤー幹部がため息をついた。

中国では、外資自動車メーカーの事業展開は、現地の合弁相手との議論が避けられない。1994年に公布された「中国自動車産業政策」は、外資企業の中国での自動車生産を合弁形態でのみ許可し、「合弁相手は2社まで」「出資比率は上限50%」といった制限が設けられていた。

この長年続いた産業保護政策は、2022年に撤廃。ドイツ・BMWは中国の乗用車合弁メーカー華晨宝馬汽車への出資比率を50%から75%に引き上げ、規制緩和を受けた第1号となった。

日系合弁企業の合弁契約期限をみると、一汽トヨタと広汽ホンダはともに5年後の2028年になり、その他日系合弁メーカーは2030年以降になる。今後、日系自動車メーカーはパートナー契約を継続する前提で、既存の合弁事業を再検討するだろう。

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