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10年間のリコールの現状から探る「消費者の安全」 火災発生危惧も消費者の3割、事業者に連絡せず

東洋経済オンライン / 2023年12月30日 18時0分

企業のリスクマネジメントに対する考え方を「実際のトラブル」を例に見てみましょう(写真:metamorworks/PIXTA)

企業の不祥事や問題、トラブルが報じられるニュースは枚挙に暇がありません。たとえばセキュリティ対策や人権・労働問題、商品の品質やマーケティングなど、その種類は様々です。しかし、これらのニュースを「ESG」の文脈から見ている人は少ないのではないでしょうか。

『あわせて学ぶESG×リスクマネジメント』の著者で公認会計士の木村研悟氏曰く、「環境:Environment、社会(人権):Social、ガバナンス:Governanceの頭文字をとったESGの本質は、『その企業のリスクマネジメント』にある」と話します。

そこで、この記事では企業のリスクマネジメントの考え方を「実際のトラブル」を例に挙げながら解説します。

■評価や信頼を勝ち取るために不可欠な「品質とマーケティング」

【図で見る】2000~2020年に起きたサイバー犯罪の一例

品質は、製品やサービスが持続可能で社会に対して責任ある形で生産・提供されることを保証することであり、ESG目標の達成に直結します。

一方、マーケティングは、商品・サービスの安心安全を顧客やステークホルダーに伝え、評価や信頼を勝ち取るための不可欠な手段となります。

1976年にOECD(経済協力開発機構)が策定した「OECD多国籍企業行動指針」では、情報開示、人権、雇用および労使関係、環境、贈賄・贈賄要求・金品の強要の防止、消費者利益など、幅広い分野における責任ある企業行動に関する原則と基準を定めていますが、この記事ではその中でも「消費者の安全」に焦点を当てて解説を進めます。

オンライン上で流通する商品の安全性

消費に関するOECDのデータ(出所:OECD,CONSUMER POLICY ATOECD)によると、興味深いことにネットショッピング(EC)が普及して消費者のエシカル志向が高まる一方、安全性の低い商品が世界中に多く出回っていることがわかります。

インターネット上で購入できる商品の安全性に課題があることを裏付けるデータは、ほかにもあります。OECDが2021年に実施した調査によると、海外では、オンライン上で流通している製品のうち、玩具・ゲーム、育児用品などでは、販売禁止品やリコール品が販売されている事例が確認されています。

また同調査によると、販売サイトから得られる情報では、製品表示や安全に関する警告が十分かどうか、自主的または義務的な安全基準を満たしているかどうかわからない製品も約3割あったと報告されています(経済産業省「インターネットモールを利用する皆様へ 安全な商品かどうかの確認を忘れずに」)。

日本の消費生活用品と食品リコールの現状

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