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鳥取、赤字ローカル線にも「成長余地」はあるのか 地方都市で鉄道が果たす役目はまだまだ大きい

東洋経済オンライン / 2024年1月3日 6時30分

鳥取駅北口。鳥取市は同駅周辺を中心拠点に「コンパクトシティ」を目指す(筆者撮影)

2022年4月のJR西日本による「ローカル線に関する課題認識と情報開示について」と題した公表は、ローカル線の厳しい状況を事業者自らが露わにしたという点で衝撃的だった。

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それまでもJRか否かを問わず、ローカル線の運営が厳しいことは伝わってきたが、このときは輸送密度(1km当たりの1日平均利用者数)が2000人未満の線区という具体的な数字を出したうえで収支率などを開示しており、より現実味が増していた。

鳥取県のローカル線の現状

JR西日本はその後も、輸送密度2000人未満の線区別経営状況に関して情報開示を行った。これに対応するようにJR東日本でも、利用の少ない線区の経営情報を開示した。

一連の動きを受けて国土交通省では「地域の将来と利用者の視点に立ったローカル鉄道の在り方に関する提言」を公表し、国としての指針を示した。ローカル鉄道については、新たに国が主体的に関与する協議会の設置が適当とした。

これを受けてJR西日本では、2022年度の輸送密度が100人を下回る芸備線の備中神代―備後庄原間について、再構築協議会の設置を国土交通大臣に要請するなどの動きが始まった。

一方JR東日本でも、首都圏にありながら同年度の輸送密度が100人に満たない久留里線久留里―上総亀山間について、沿線自治体に対して総合的な交通体系に関する議論を行いたい旨の申し入れを行った。

JR西日本および東日本が公表した輸送密度2000人以下の線区の中には、筆者が訪ねたところもいくつかある。昨秋にも鳥取市を訪れる機会があったので、鳥取駅周辺のJR西日本の路線をチェックしてきた。

鳥取駅は山陰本線が東西に貫き、因美線が岡山県の東津山駅と同駅を結んでいる。このうち輸送密度2000人以下となっているのは山陰本線の鳥取駅より東側、兵庫県の浜坂駅までの区間で、2022年度は768人だ。残る山陰本線の西側、具体的には鳥取県内の鳥取―米子間、因美線智頭―鳥取間はともに2000人を上回っている。

鳥取駅に接続する3線区の中で、山陰本線の東側だけが少ないのは、地域間を結ぶ特急列車が少ないことが大きい。

鳥取市と関西を結ぶ特急列車は、昔は山陰本線経由だった。しかし現在は、兵庫県の山陽本線上郡駅と因美線智頭駅を結ぶ第3セクター智頭急行経由の「スーパーはくと」が主役で、1日6往復走っている。さらに因美線・智頭急行には岡山へ向かう「スーパーいなば」も6往復ある。一方で鳥取駅から東へ向かう山陰本線の特急は、播但線経由の「はまかぜ」3往復のうち1往復にすぎない。

鳥取駅には特急が次々と発着

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