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佐川急便「2年連続値上げ」への危機感とプライド 本村社長が訴える「価格転嫁が進まない」大問題

東洋経済オンライン / 2024年1月4日 7時50分

佐川急便は宅配大手だが、チャーター輸送や顧客のサプライチェーン構築に関連した物流ソリューションなども手掛ける(編集部撮影)

「物流2024年問題」を前に、2023年4月からの運賃の値上げを最初に表明したのは宅配大手の佐川急便だった。2023年10月には2024年4月に2年連続で値上げ(宅配便で平均7%)する方針を明らかにした。本村正秀社長は顧客である荷主から適正な対価を得て、物流インフラを守り抜くと語る。

――2023年1月、業界に先んじて運賃の値上げを打ち出した理由は?

【佐川急便の木村社長】セールスドライバーを経て、同社役員やタクシー会社社長などを歴任

顧客に対しても、業界に対しても、運賃を上げることがなぜ必要か、しっかりとしたメッセージを出したいと思っていた。これまでは顧客と運賃交渉を進めても、コストの上昇を思うように転嫁できなかったからだ。

今後は確実に労働人口が減っていく。そのとき業界にどれだけの人が残ってくれるのか、このままで本当に荷物を運べるのかという懸念がある。将来を見据えて適正な運賃をいただきたい。物流が弱れば経済にも影響する。顧客やパートナー企業と一緒にインフラを維持していきたい。

インフラを死に物狂いで維持する

――2024年4月から2年連続となる値上げを実施します。顧客の理解は得られますか?

中には競合他社を選ぶ顧客もいるかもしれないが、今回は人件費などが先行して上昇する中でコストを吸収しようとしている。そこで値上げをせずに、下げていくとなったら会社は持たない。

今後も宅配便は年間1%ずつなど、着実に伸びていくだろう。われわれはこのインフラを死に物狂いで維持し、顧客の荷物は絶対に運ぶ。そんな強い意志でやっている。

――2024年問題の残業規制は、業界にどんな影響がありますか?

上限規制はいいことだと思っている。トラックドライバーは全業種平均よりも労働時間が長く、賃金は低い。そんな状況を変えていかなければ、物流業、トラックドライバーに人は集まらず、さらに減っていくだろう。業界全体で待遇を見直していかないとだめだ。

われわれも、佐川急便だけでインフラが完結しているわけではない。自社で2万6000台強、それ以外にパートナー企業の6万台強が宅配便のために走っている。人数は10万人を超える。

今期は社員の給与を引き上げたが、パートナー企業からの値上げ要請もあるので、委託費も見直し、徐々に引き上げている。委託費を引き上げなければ、佐川急便の仕事を受けてもらえなくなる。

効率化なども進めるが、インフラを維持するためには、お客様に値上げをお願いするしかない。それが物流業界にとって必要なことだと思う。

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