血圧高め放置で「心筋梗塞リスクは約8倍」の怖さ 降圧薬の種類や使い方、やめ時を専門医に取材
東洋経済オンライン / 2024年1月5日 10時0分
また、薬物療法中も生活習慣の改善は必要で、薬の効果を高めるほか、薬を減量したり、やめたりすることにもつながる。
生活習慣を改善して1~3カ月様子を見ても血圧が下がらない場合、あるいは高血圧の程度や年齢、持病、病歴、喫煙習慣などによって、脳卒中や心筋梗塞などのリスクが高い人は薬による治療に進む。
血圧を下げる4つの薬の特徴
血圧を下げる薬は「降圧薬」と呼ばれ、『高血圧治療ガイドライン2019』では最初の治療で次の4つの中から選択することを推奨している。
①~③は血管を広げ、④は血流を減らすことで血圧を下げる効果があり、いずれも脳心血管病を抑制することが明らかになっている。
それぞれの薬の特徴について、鳥羽医師はこう解説する。
「最も多く使用されているのが、カルシウム拮抗薬です。安価で降圧効果が高く、とくに高齢者に最初に使用されることが多いです。一方、50~60代の人には、副作用が少なく、ゆるやかに効果が表れるARBを最初に選ぶこともあります」
50~60代でも高血圧の程度が重ければ、最初にカルシウム拮抗薬を選択する。ACEI(ACE阻害薬)は空咳の副作用があり、降圧効果も高くないことから、最初から使用する頻度は減っている。高血圧の原因に塩分の過剰摂取が関わっている人は、利尿薬が効果的だという。
一般的には、これらから1種類を少量からスタートし、1カ月程度様子を見て、副作用が出る、あるいは効果が出なければ別の種類に変更するが、1種類だけで目標値まで血圧を下げられる割合は約4割未満(『高血圧治療ガイドライン2019』より)。
したがって高血圧の治療は薬の種類が増えやすい。
特に高齢者の場合はほかの病気で薬を服用していることも多く、薬の種類が増えるほど飲み間違えなど、管理が難しくなる。
そこで「ARB+利尿薬」「ARB+カルシウム拮抗薬」の2種類の配合剤、「ARB+カルシウム拮抗薬+利尿薬」の3種類の配合剤も登場している。
「配合剤は、薬の種類を減らせるメリットがあります。ただし、血圧を下げすぎるリスクがあるほか、副作用が出た場合にどちらの薬によるものかわからない場合も出てきます。2種類、3種類と併用して安全性などを確認したうえで、配合剤に切り替えるのが一般的です」(鳥羽医師)
先に挙げた4つの薬以外では、2021年からは心不全治療薬の「アンジオテンシン受容体ネプリライシン阻害薬(ARNI)」が、使えるようになった。
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