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中国新興EV「蔚来汽車」、中東ファンドが大株主に アブダビ政府系のCYVNが3000億円超を追加投資

東洋経済オンライン / 2024年1月10日 15時0分

蔚来汽車はCYVNの追加投資をテコに再成長を目指す。写真は2023年12月、新型高級EV「ET9」を発表する創業トップの李斌CEO(同社ウェブサイトより)

中国の新興EV(電気自動車)メーカーの蔚来汽車(NIO)が、中東の投資ファンドから大型の追加投資を獲得した。蔚来汽車の2023年12月18日付の情報開示によれば、アラブ首長国連邦(UAE)のアブダビの投資ファンド、CYVNホールディングスが子会社を通じて約22億ドル(約3137億円)を出資する。

【写真】蔚来汽車は中国市場でのEV販売が目標に届かず、立て直しが急務になっている。写真は安徽省合肥市のショールーム

具体的には、蔚来汽車が新規発行する2億9400万株の普通株を、CYVN が1株当たり7.5ドル(約1070円)の現金で取得する。この取引は2023年12月の最終週に執行される予定だ。

実質経営権は創業トップが維持

CYVNは経営権の過半をアブダビ政府が保有しており、先進的なスマート・モビリティ分野に重点的に投資している。同社は2023年7月、増資引き受けと既存株主からの株式買い取りを通じて、蔚来汽車に総額約11億ドル(約1569億円)を出資していた。

蔚来汽車の説明によれば、今回の追加出資の完了後、CYVNは発行済株式の20.1%を保有する筆頭株主になる。ただし、同社の実質的なオーナーは創業トップでCEO(経営最高責任者)を務める李斌氏のままで変わらないとしている。

(訳注:李斌氏は1株に複数の議決権が付与された種類株を保有しており、議決権ベースでは増資後も最大株主の地位を維持する)

CYVNの追加出資のニュースを受け、ニューヨーク証券取引所に上場する蔚来汽車のADS(アメリカ預託株式)は急騰。12月18日の終値は前営業日比4.6%高の8.35ドル(約1191円)で引けた。

2023年8月以降、蔚来汽車は中国市場でのEV販売が振るわず、ADSの下落率が4割を超えていた。一部の市場関係者は、CYVNの追加出資は「底値買いを狙ったもの」との見方を示す。

蔚来汽車は2023年12月5日に発表した7~9月期の決算で、45億5700万元(約912億円)の純損失を計上。同年9月末時点の現金および現金同等物、制限付きの預金、短期投資および長期定期預金の総額は452億元(約9042億円)あり、直ちに資金ショートに陥る状況ではない。

新興勢の出資受け入れ相次ぐ

とはいえ、新型車や自動運転システムの開発費用を中長期的に賄うには、とても十分とは言えない。蔚来汽車は外部(の投資家)からの出資獲得に動くとともに、2023年10月には10億ドル(約1426億円)のドル建て転換社債を発行した。

同社の直近の業績は改善傾向を見せている。7~9月期のEV事業の粗利率は11%と、直前の4~6月期より約5ポイント改善した。蔚来汽車のCFO(最高財務責任者)を務める奉瑋氏は決算説明会で、「10~12月期のEV事業の粗利率は15%を目標にしている」と述べた。

中国のEV業界では、市場競争が熾烈さを増すなかで(資金調達力が弱い)新興メーカーが外国資本の出資を仰ぐケースが相次いでいる。

蔚来汽車のほかにも、2023年11月には零跑汽車(リープモーター)が、ヨーロッパ自動車大手のステランティスから約15億ユーロ(約2335億円)の出資を獲得した。また、同年7月には小鵬汽車(シャオペン)がドイツ自動車大手のフォルクスワーゲン(VW)から約7億ドル(約998億円)の出資を受け入れた。

(財新記者:余聡)
※原文の配信は2023年12月19日

財新 Biz&Tech

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