台湾総選挙・支持者獲得では「空中作戦」も発生 台湾選挙のリアル②・既存の選挙戦に自信がない政党
東洋経済オンライン / 2024年1月11日 15時0分
台湾では2024年1月13日、総統選挙と日本の国会に当たる立法院の立法委員選挙が行われる。台湾を長らく支配してきた中国国民党(国民党)、現在与党の民主進歩党(民進党)の2大政党が台湾の政治を行ってきた中、台湾民衆党(民衆党)という第3勢力が急速に台頭している。
これまでとは違った選挙戦を各政党はどう戦っているのか。既存の戦いが通用しないかも——。大きな不安を抱えながら、各政党は票獲得にどう動いているのか。台湾総統選挙「だから私はこの人に投票する」に続く第2回、与党・民進党をはじめ各政党の選挙戦を追ってみた。(一部、敬称略)
民衆党自身が驚く現象が、今回の選挙期間中に発生した。組織的な運動ができない状態で、台中市と高雄市で開催した支持者集会に1万人以上が集まったためだ。
民衆党の許甫・副書記長は「集会を開催することに大きな不安を感じていた。われわれの主な支持者は若者であり、彼らは仕事などで時間がないと思っていた。政治に対する関心も、中年、高齢者よりも低いのが実情だ。だから集会に参加する人がどれだけいるだろうか、少ないのではと予想していた。ふたを開けてみると、われわれには多くの人が集まっていた。支持者の熱気を感じる」という。
台湾では支持者集会のことを「造勢大会」という。「気勢を上げよう」という意味だ。普通、気勢を上げようとするなら組織的な動員が必要だ。
民衆党の「空中作戦」と「陸上作戦」
自治体の村や里長、農業や漁協、など地方の各種団体の責任者や政党の地方支部の党員などを動員し、バスに乗せて集会会場まで送り届けて政党や候補者を応援する。
組織に力があるなら、食事やプレゼントまで用意する。長い間、国民党と民進党はこのような方法で地方の中高年層の支持を集めてきた。台湾では「陸上作戦」とも呼ぶ。
一方、若者層で広範囲な支持を受けている民衆党の柯文哲はネット上での選挙選、いわゆる「空中作戦」に自信と力を持っている。SNSなどの公式アカウントを利用し、選挙戦を繰り広げているのだ。
柯文哲の発言や公約説明、集会開催情報などを動画などのコンテンツとして作り、ネットで高い閲覧数を上げる。台湾でも数多くのユーチューバーがいるが、今回は柯文哲を自身の番組に出演してもらおうと招待している。
これは、4年前の総統選挙では、蔡英文が初めて行って話題になったやり方だが、今回は柯文哲がより積極的に行動し、ネット上では「絶対王者」となっているほどだ。
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