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台湾総選挙・支持者獲得では「空中作戦」も発生 台湾選挙のリアル②・既存の選挙戦に自信がない政党

東洋経済オンライン / 2024年1月11日 15時0分

「われわれはヒューマニズムと革新的価値を追求する。一般市民とともに努力している。投票日には必ず支持してください」。

民進党立法委員候補の呉沛憶(36)は、こう訴えた。1月6日、台北市第5選挙区(中正、万華地区)で、呉沛憶が遊説していた。蔡英文と民進党副総統候補の蕭美琴が愛猫家と知られているため、呉沛憶は遊説時には猫の手の形をした手袋をつけて、市民に向けて手を振っている。民進党報道官を務めた呉沛憶は、今回は必勝の覚悟だが不安な点もなくはない。

「民進党は親中路線を拒否し、アメリカやEU、そして東南アジアなどの世界市場との交流する道を開いた。国民党や民衆党が政権に就けば、台湾はこれまで守ってきた『世界往来』の路線が中断される」と、呉沛憶は今回の選挙戦の意味をアピールする。

台北市第5選挙区は、前回、前々回の選挙で世界的な注目を集めた。国民党がもともと優勢な地区だが、台湾を代表するヘビメタルバンド「閃霊」(Chthonic)のボーカル・林昶佐が「汎革新陣営」の統一候補として出馬し、再選も果たした。しかし、今回の選挙で林昶佐は不出馬を表明し、同じ選挙区の市議会議員である呉沛憶が立候補することになった。

しかし、今回はテレビの討論番組によく出演する国民党の鍾小平だけでなく、民衆党も人気MC出身で無所属の于美人が推薦し、選挙戦が大きく変わった。呉沛憶にとって、簡単ではない選挙戦となった。

呉沛憶は「民衆党の勢いが強いが、投票するかどうかは国民党と民進党よりも低いようだ。われわれが有権者を見ていると、民衆党が推薦した干美人を支持することよりも、既存の政治体制について満足していないと見える。実際に、于美人や民衆党に投票するかは未知数だ」と指摘する。

「既存の政治に飽きられている」民進党の危機感

さらに「過去2回の選挙で、私が市議会議員に当選したのは多くの若い有権者が投票してくれたからだ。彼らは民衆党の支持者ではないかもしれない。しかし、今回は民衆党の『民進党も国民党もどちらも嫌い』というスローガンに強く反応している。私が若者からの支持をひきつけることができるか、大きな課題だと考えている」と打ち明ける。

この選挙区で呉沛憶が世代間での見解の差を大きく感じているという。「20代の有権者が政治への関心を持つようになったとき、そして参政権を持ち始めたときは、すでに民進党が長期政権となった状態だ」と指摘する。

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