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2024年・ロシアのプーチン大統領はどこへ行く? 米欧の「ルッソフォビア」に対抗、国家改造着手

東洋経済オンライン / 2024年1月13日 8時30分

2023年12月14日、恒例の記者会見で記者からの質問に答えるプーチン大統領(写真・Sputnik/共同通信イメージズ)

2024年を迎え、ロシアによるウクライナ侵攻は2月末には、いよいよ3年目に入る。国際的な最大の関心は、もちろん戦争の行方だ。

しかし、戦局の膠着化、不透明感の強まりを受け、侵攻の現状・見通しを歴史的文脈から考える必要性が、より高まってきたと筆者は考える。そこで、今回の論考では、そういった観点も踏まえて「どこへ行く、プーチン・ロシア」をテーマに分析してみた。

2023年12月14日、プーチン大統領は侵攻後、中止していた恒例の大規模記者会見を復活した。その前後も様々な場で発言を行った。

プーチン「和解はありえない」

もともと系統立てて長広舌を展開するのが得意のプーチン氏。2023年6月からのウクライナ軍の反攻作戦を不発に終わらせた結果に気を良くしてか、余裕の表情を浮かべながら、自らの強気な論理を滔々と展開した。こうした発言はロシア・ウオッチャーにとって、プーチン氏の心根を探る上で重要な機会となった。

その結果、数々の言葉をつなぎ合わせていくと、今後に向けた「プーチン戦略」が、次第に一つの像のように浮かび上がってきた。その像とは、この侵攻が「ロシアを敵視する傲慢な西側」との長期的敵対関係の始まりに過ぎず、西側が大幅に譲歩し歩み寄ってこない限り、和解はありえないとのプーチン氏の強い意志だ。

その思いを象徴的に吐露したのが、2024年1月1日、モスクワの病院に入院している負傷兵を見舞った際に語った発言だ。その概要はこうだ。

「彼ら(西側を指す)がわれわれの敵(ウクライナ)を助けているわけではない。彼ら自身がわれわれの敵なのだ。これが問題のすべてだ。数世紀にわたり、そうだったし、今も続いている。ウクライナ自身は我々の敵ではない。国家としてのロシアを消滅させることを望む西側こそ敵なのだ」

ここで言う「西側こそ敵なのだ」とは何を意味するのか。それは、たとえ侵攻でウクライナに勝っても、問題は終わらないし、その後も西側との敵対関係が続くとロシア国民に長期戦への覚悟を求めたもの、と筆者は考える。

この「数世紀にわたる」西側の敵意、を一言で象徴する言葉として、プーチン氏が最近の演説で従来以上に多用し始めたのが、「ルッソフォビア(ロシア嫌悪)」という言葉だ。

これは、主に18世紀半ばから19世紀半ばにかけ、フランスやイギリスで広まった反ロシア感情を指す、歴史的なロシア語だ。ロシアで長い間、使われなかったこの言葉を政治の舞台に復活させたのはプーチン氏自身だ。

ルッソフォビア(ロシア嫌悪)の受難国

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