「長期投資の肝!」時代のど真ん中産業の見極め方 ターゲット業界を間違えれば成果は出ない
東洋経済オンライン / 2024年1月16日 8時30分
日本の場合、これらの過程のほぼすべてに卸売が入っており、この図はそこまでの一連の流れに卸売や物流、そして金融が関わっているということを示しています。これがバリューチェーンの考え方です。
消費者のところに来る前の段階まではすべてBtoB(企業間取引)なので、私たちの目には見えていませんが、こうした構造になっています。日本では、BtoBの間には専門商社と呼ばれる商社があり、ほぼすべての工程に関わってきます。これらすべてをお金の面から支えているインフラが、金融というわけです。
どの業種・どの会社もお金を調達したり借りたりしなければなりませんし、資金調達のために株を発行したりすることもあるでしょう。保険をかけて損害に備える必要もあります。またリース会社から機械を借りるなど、あらゆるところに金融が関わってきます。
さらに、大枠として社会インフラというのもあります。陸運での流通には道路が必要ですし、道路には信号がつきものです。もっと基本的なことでいえば、通信が使えないとビジネスが成立しません。電気がなければ回っていかないという現実があります。建設や通信、電気、ガスに始まり、警察、役所などの公共インフラも日本の産業を支えているのです。
こうして産業社会を俯瞰して見ていく習慣を身につけると、どこに投資するのが自分にとって適切なのかを理解する手がかりになります。
投資先の選定はきわめて重要です。たとえば、あなたが20年後を投資のゴールにしたいと考えていたとしましょう。ということはつまり、あなたがこれから投資先として選ぶ会社は20年間存続することを前提条件としなければいけないことになります。株式市場は常にさまざまな要因で変化しているので、あなたの保有する銘柄がずっと右肩上がりで、業績と株価がともに上がり続ける可能性は0に近いでしょう。
業績が悪い時期があるのはやむを得ませんが、最低限、あなたが掲げる投資のゴールまでその会社が存在しなければ、投資する意味がなくなってしまいます。もっとも株式投資をするのに、1社に全財産を投資するような人はいません。分散投資が基本ですから、複数社の株式を持つことになるでしょう。
でも投資先を20銘柄に分散したとしても、20年後にはそのうちの10社が倒産などでなくなっていたということがあってはならないわけです。大切なのは、時代を作るような「ど真ん中の産業」がどの業界なのかを見極め、そこから投資先を決めていくことです。
なぜ渋沢栄一は一時代を築くことができたのか
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