「長期投資の肝!」時代のど真ん中産業の見極め方 ターゲット業界を間違えれば成果は出ない
東洋経済オンライン / 2024年1月16日 8時30分
1935年、アメリカの化学メーカーであるデュポン社が、石炭と水と空気から作られるナイロンの合成に成功してしまいます。ナイロンは「鋼鉄よりも強く、クモの糸より細い」をキャッチフレーズに、女性のストッキングに使われるようになりました。高価で破れやすい絹のストッキングにナイロンストッキングが取って代わるのに、そう時間はかかりませんでした。
また同時に、生糸を上回る勢いで綿織物が輸出上位に浮上してきます。
日本で近代的な工業として綿織物業が盛んになったきっかけは、豊田自動織機の創業者である豊田佐吉による1890(明治23)年の人力織機、1896(同29)年の木製動力織機の発明です。すでに日本各地に存在していた様式の紡績工場から良質の綿糸が供給されたこともあって、明治初期には輸入に多く頼っていた綿織物の生産数は急ピッチで上昇します。
このような他の繊維の台頭もあり、日本の主要産業である生糸はナイロンの登場と入れ替わるようにして、1934年以降は輸出額1位から陥落します。繊維の主役は、綿や化学繊維に取って代わられることになったのです。イノベーションが起こった結果、時代が大きく移り変わっていったわけです。
社会が「何かの出現」で変わるタイミングをつかむ
このように、何かが出現することで世の中がガラリと変わる経験を私たちもしてきています。まずは、インターネットの登場です。
とはいえ当時、人々のライフスタイルをひっくり返すほどのものになると、みんながみんな思っていたわけではないでしょう。インターネットにアクセスしやすくなったとはいっても、通信速度はそう速くもなかったですし、当初の認識としては事務作業が便利になったとか通信手段が増えたくらいに考えていた人が多かったと思います。
ところが回線が整備され、つながりやすさが向上し、インターネットショッピングが便利だと多くの人が気づいたころから、インターネットは私たちの生活になくてはならないものになりました。ですから、インターネットの登場時点ではAmazonに投資するのが大正解だったわけです。
インターネットサイトの運営会社やパソコンを製造している会社ではなく、その登場によって世の中をどう変えるサービスが出現するか、その流れにいちばんうまく乗れるのはどの会社か、というところに目をつけることが必要なのです。
私はよく「風が吹けば桶屋が儲かる的な発想が大切」と言っているのですが、これがまさにそうです。Amazonは、世界中の人の買い物の仕方を変えたと言っても過言ではありません。それくらいインパクトのあるサービスを、インターネットを利用して提供し続けているということですね。
ただ、繰り返しになりますが、Amazonが出てきた段階で、ここまでインパクトを与えるものになるとは、おそらく多くの人は考えていませんでした。そこに気づいた人が、Amazonへの投資で利益を手にすることができたということです。
渡部 清二:複眼経済塾 代表取締役塾長
外部リンク
この記事に関連するニュース
-
半導体関連や小売りなど広い業種で業績が改善 インバウンド拡大やDX需要の継続が追い風
PR TIMES / 2024年6月15日 17時40分
-
「それでも日本株は上昇する」と言える2つの根拠 景気はよくないのに株価が高いのはおかしい?
東洋経済オンライン / 2024年6月5日 9時0分
-
全産業の経常利益、15.1%増 1~3月期、法人企業統計
共同通信 / 2024年6月3日 9時46分
-
株投資で儲けたプロ3人が注目する決算書の"ツボ" DAIBOUCHOU、名古屋の長期投資家、足立武志
東洋経済オンライン / 2024年6月3日 7時0分
-
4月の工業生産6.7%増、経済の「バラスト」が安定―中国
Record China / 2024年5月30日 16時30分
ランキング
-
1爆増する「ロピア」にも負けないスーパーの正体 従来スーパーが切り捨てた生鮮ノウハウを強化
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 13時0分
-
2「戦力の集中」運用に背いたゆえのミッドウェー敗戦 空母4隻と2隻に分けたことがそもそもの敗因
東洋経済オンライン / 2024年6月16日 9時0分
-
3バブル期のリゾート地では1室数千万円も、いまや数十万円まで値下がり…「貧乏マンション」の悲惨な末路【サラリーマン大家が解説】
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年6月16日 14時5分
-
4年収1000万40歳は4910万円、年収400万35歳は2742万円が限界…年齢・年収別「マイホーム価格」早見表
プレジデントオンライン / 2024年6月16日 9時15分
-
5お金の問題は「お金がないこと」ではない…収入が低くても「一生お金に困らない人」が絶対に欠かさないこと
プレジデントオンライン / 2024年6月16日 10時15分
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
記事ミッション中・・・
記事にリアクションする
エラーが発生しました
ページを再読み込みして
ください