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ソニーはなぜ「銀座の一等地に公園」を作ったのか 公園を「再定義」して見えてきた"らしさ"の本質

東洋経済オンライン / 2024年1月16日 10時0分

――「ソニーパーク」は、地下には飲食や物販もありましたが、基本的にはがらんとした空間で、人々が好き勝手に過ごしている。いろいろなイベントもやっていましたね。

永野:年に3、4回、イベントを企画・運営していました。最初の1年間は、ソニーとは関係のないプログラムに徹したのです。ローラースケート場を作ったり、アートブックフェアをやったり、テクノロジーを使った未来の運動会みたいなこともやりました。

――ユニークで楽しそうな企画ばかりです。すべてが新しい試みですね。

永野:不安がなかったかというと嘘になります。この場が公園に見えているのかどうか、そして何よりソニーのブランドに貢献できているのかということです。それで1年経った頃、来場者にアンケートをしてみたのです。「この場をどう思いますか」という問いに対し、筆頭で上がってきたのが「ソニーらしい」でした。

――どこがソニーらしいと評価されたのでしょうか。

永野:建て替え中の空間をそのまま使って公園にしているユニークさを、ソニーらしいと評価してもらえたのです。また、公園という場とソニーというブランドが一体となって認知されていることが確認もできました。そこで2年目は、自社の企画をやっていこうとなったのです。

歴代の「ウォークマン」を実際に聴けるようにした理由

――どんな企画をやったのですか。

永野:「ウォークマン」の40周年記念イベントをやりました。歴代の「ウォークマン」を聴ける場ということで企画したのですが、初代も含め、歴代の「ウォークマン」の中にカセットテープを入れて、実際に聴けるようにしたのです。

――そういう貴重なものは「触らないでください」という表示が付されて、展示されるものですが……。

永野:それではおもしろくないし、訪れた人に楽しんでもらえないと思ったのです。会場に公園の遊具のような場所を作ったのですが、寝そべりながら聴いたり、壁にもたれて聴いたり、それぞれがそれぞれの楽しみ方をしている。3年にわたってそういうユニークな体験のできるイベントを行い、854万人の来場者がありました。

――コロナ禍を挟んでの数字ですよね。

永野:コロナ禍がなければ、おそらく1000万人を超えたのではないかと思います。そして僕らが学んだのは「余白プラスアクティビティ」ということ。「余白」のある場で、イベントなどの「アクティビティ」を行うと、心躍る場にいるというモードチェンジが起きる。そういったものを備えた公園こそ目ざすものという方針が明確になりました。

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