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「奨学金437万円」男性が40代でようやく得た天職 貧困家庭出身の彼が今、アフリカで働く理由

東洋経済オンライン / 2024年1月17日 12時0分

こうして、アフリカの子どもたちのために勉強を教えるべく、教員免許を取得した長内さんだが、そう簡単にお呼びにはかからない。

そもそも、彼は30歳のときに行った青年海外協力隊の仕事で英語を覚え、その後大学院時代に1年半ほどブラジルに行ったため、ポルトガル語も話せていた。しかし、「フランス語を話せたほうが絶対に仕事につながる」と確信して、40歳で再び青年海外協力隊に参加。フランス語を学ぶために、フランス語圏のアフリカの国に渡った。

「2年間フランス語を勉強して、そこで『英語とフランス語とポルトガル語の3カ国語が話せるので、アフリカのどの国でも仕事ができます!』と言えるようになったんです。すると、そこから『ボランティア』ではなく、『専門家』としてお呼びがかかるようになり、ようやく飯が食えるようになりました」

青年海外協力隊も一応、月8万〜13万円の積立金給料がもらえるが、長内さんはこのときから「独立系の国際協力コンサルタント」と名乗れるようになり、国際協力事業や海外事業に関するコンサルティング業務(調査・研究・計画・実施など)や、そのためのコンサルタントの育成および派遣業務が主な会社を立ち上げた。

今ではケニア、ルワンダ、セネガル、コートジボワールなど、さまざまな国で子どもたちに数学や理科を教える機会を、仕事として提供している。

奨学金がなかったら、肉体的か精神的に潰れていた

やはり、幼少期に自らも貧しい生活を送ったことから、同じ境遇の子どもたちを「助けたい」という気持ちがあったのだろうか?

「それはあると思います。初めて青年海外協力隊で訪れた国は、電気も水もないような場所にもかかわらず、勉強をしたい子どもたちはたくさんいました。あるとき、日本からチョコレートが送られてきたんですよ。

彼らはチョコレートを食べたことがないので『家で勉強すると約束してくれるならあげるよ』と言って渡したところ、ちょっとだけ食べて銀紙に残すんです。『なんでや?』と聞いたら、『家に持って帰って弟や妹にも分けてあげるんだ』と言うんです……。

それを聞いた瞬間、彼らが僕と全然違うタイプの人たちで、この子たちとずっと仕事ができたら、違う人生の扉が開くのではないかと思いました。

そのような、貧しいけど、やる気のある子どもたちの力になれる仕事で一生飯が食えたら、それは楽しい人生になるだろうなと感じたんです」

現在、発展途上国で子どもたちのために、汗水垂らして働く長内さん。この仕事は奨学金を借りて大学院まで進んでいなければ、できなかったことだろう。ただ、奨学金制度そのものには、一家言ある。

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