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ドイツ「最大のタブー」を揺るがすイスラエル攻撃 ユダヤ人とイスラムの団体がそれぞれ語る懸念

東洋経済オンライン / 2024年1月19日 8時30分

ドイツ国内では親イスラエル派ばかりでなく、親パレスチナ派のデモも繰り返されている(2023年12月2日、ハンブルク、写真:Markus Scholz/Getty Images)

2023年10月7日のイスラム主義組織ハマスのイスラエルに対するテロ攻撃と、イスラエルによる対ハマス掃討作戦の激化以来、ドイツをはじめヨーロッパ各国で、反ユダヤ主義の高まりがみられる。

【写真】ドイツ・ベルリンにあるユダヤ人団体の建物は厳戒態勢

筆者は2023年11月、ドイツ・ベルリンのユダヤ人団体、イスラム教団体の代表者らに会い、彼らが抱いている不安や現状への批判を聞いた。

「街路がハマスによる虐殺を祝う人々であふれた」

ドイツの反ユダヤ主義の研究機関「RIAS」によると、テロ攻撃から11月9日までの間、994件の反ユダヤ主義の動機に基づく事件があった。1日当たりの件数で、前年の平均の約4倍となり、内訳は深刻な暴力が3件、暴力29件、器物損壊72件、反ユダヤ主義的発言など854件だった。

公共放送ARD(12月29日付電子版)が、連邦刑事庁の集計を基に報じるところでも、テロ攻撃から12月21日までの間、反ユダヤ主義の不法行為は1100件以上。前年1年間の同様の不法行為は2874件だったことを見れば、反ユダヤ主義が急速に拡大していることは明らかだ。

「ドイツ・ユダヤ人中央評議会」は、ベルリン・ミッテ(中央)区の大きなシナゴーグ(ユダヤ教教会)のすぐ近くにある。テロ攻撃に備え、入り口前の歩道には太い鉄製の柱がコの字型に設置され、24時間警察官が警備している。

この建物内で11月29日、ダニエル・ボトマン事務局長(1984年生まれ)と、ニルス・ランゲ報道官に会った。ボトマン氏は、ドイツの反ユダヤ主義の現状について、厳しい見方を示した。

「ドイツの反ユダヤ主義は、1945年(第2次世界大戦でのナチ・ドイツの敗北)で変わったわけではない。戦後ドイツでも反ユダヤ主義は常に存在した。ただ、今回のハマスによるテロに際し、ドイツ中の街路が虐殺を祝福する人であふれた。この形は新しい質を持つものだ」

テロが起きた直後の10月7日昼、イスラエルの捕虜となったパレスチナ人の支援活動をしている団体「サミドゥン」(Samidoun)が、イスラム系移民が集住するベルリン・ノイケルン地区で、テロを祝いお菓子を配った。

その後もパレスチナへの連帯と反イスラエルのデモがドイツ各地で行われ、17日夜から18日未明にかけては、ガザの病院爆発事件を受けて、ノイケルン地区やブランデンブルク門前で反イスラエルデモが暴動化し、シナゴーグに火炎瓶も投げつけられた。

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