なぜ株価はほとんどいつも上がっているのか? ただし「10年に1度の暴落」も近いかもしれない
東洋経済オンライン / 2024年1月20日 20時30分
次に、金利がある。普通の債券(アメリカの国債など)に金利が付く、ということは、株式投資をすると、その金利プラスリスクプレミアム分は、株価が上がらないと、株式投資をすることに辻褄が合わない。だから、金利がプラスで付く以上、平均的には、株価は上がらないといけないし、リスクプレミアム分、金利よりも上昇率は高くないといけない。だから、上昇トレンドは必須である。
さらに、1980年以降、先進国はおおむね金利は低下傾向にあった。インフレが収まったからであるが、予期せず金利が低下するということは、ご存じのように、株価は上昇することになる。
一方、いったん金利が下がり切ってしまうと、後は金利は上がるしかないから、株価は下がることになるし、同時に、前述の、債券を持っていると得られる利子に見合った上昇、あるいは配当がないと株式投資をしないから、株価の上昇率は金利と見合いだ、ということになると、金利がゼロになれば、株価も上がらなくてもつじつまが合う。
だから、二重の意味で、金利ゼロの世界からプラスに戻っていくと、株価は大きく下がるのである。一方、世界的な金利低下トレンドにあったこの30年は、株価が上がり続けたのである。
付け加えると、アメリカなどでは、配当すると二重課税になるため、配当を嫌って自己(自社)株買いをする傾向があるから、日経平均のように配当権利落ちの額が少なく、上がり続けることになる。実際、日経平均も配当込みで計算すると、NYダウに対してもう少しキャッチアップできることはよく知られている。
株はそもそも上がることが構造的に決まっている
このように見てくると、株価はそもそも上がることが構造的に決まっていることになる。これが実は、見かけ以上に重要である。こういうトレンドがあるならば、上昇トレンドに乗るのが、投資の王道、必勝法である。だから、みんな株を買う。この構造をわかっていても、いなくても、株を買う。株を買う人ばかりになるのである。
だから、株は上がる。ただ、それだけのことなのだ。暴落が来たときは、いち早く逃げるか、売りに転じて儲けるか、あるいは、政府や中央銀行に救済させ、税金で負担をさせ、このトレンドに乗らなかった人々ともコストをシェアする。そういうことなのだ。これが派手に起きているときは、バブルとその後の崩壊となり、地味に起きているときは、普通の株価上昇トレンドの世の中になるのである。
個人的には、そろそろ「10年に1度のとき」だと思っているが、どうなるか(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が週末のレースなどに予想するコーナーです。あらかじめご了承下さい)。
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