なぜ株価はほとんどいつも上がっているのか? ただし「10年に1度の暴落」も近いかもしれない
東洋経済オンライン / 2024年1月20日 20時30分
少し古くなるが、代表的なケースは2000年4月に起こった、「日経平均30銘柄同時入れ替え事件」である。このときは日経平均が実質2000円以上も下落した崩壊要因となったと、今でも言われている。つまり、当時は、それまでは大々的に意図的な入れ替えを行っていなかった日経平均が「時代に即して」という理屈で、突然30銘柄の入れ替えとなった。
それはそれでいいのだが、日本では、この規模の入れ替えは前代未聞であったから、10日間の猶予が与えられた。つまり、発表が同年の4月14日金曜日の引け後で、実際の入れ替え実施が4月24日月曜日の寄り付きからということにしたので、2回週末の猶予があり、5営業日はまるまる取引のチャンスができた。
その結果、どうなったか。この5日間に外される銘柄は平均で20%以上下がり、新たに組み入れられる銘柄は平均でも20%近くも上がった。「入れ替えバブル」である。つまり、20%の下げの影響はインデックスに反映され、強烈な上げの影響はインデックスに入る前だった。
さらに影響が大きかったのは、組み入れ後、20%上がってから入った銘柄は暴落した。そして、日経平均を計算する際の特殊なウェイト付け方法によって、組み入れ銘柄にいわゆる値ガサ株(1株の価格の数字が大きい銘柄。1株100円の銘柄と1株1万円の銘柄ではウェイト付けに100倍の違いがある。これがファーストリテイリングの取引と日経平均の取引でアルゴリズム的に仕掛けるトレーダーがいる理由である)が多かったから、暴落の影響は大きかった。
同時に、抜けた銘柄はウェイトが小さい銘柄が多かったことで、入れ替えがなかった残りの195銘柄は、入れ替え前と入れ替え後でウェイトが大幅に低下することとなった。実際、それに連動して、入れ替え準備の5日間で、これら195銘柄も平均で8%程度下落した。この入れ替え事件によって、日経平均は全体で見ても10%前後、損したのである。
一方、入れ替えをサプライズでうまくやれば、上昇トレンドを強化することができる。あるいは自然に上昇が起こる。だから、銘柄を入れ替えるインデックスの方が上がりやすい。だから面白い。これも日経平均からTOPIXへの先物トレードの移行が起きない1つの理由である。前者の方が値動きが大きく派手なのだ。
さて、株価というものは上がるものだ、という現象には、さらに細かい理由がいくつかある。まず、インフレである。モノがインフレであれば、資産もインフレにならなければ辻褄が合わない。企業の売り上げも、利益も、インフレ分膨らむから、名目の株価は上がるものである。
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