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拝啓ヴィレヴァン様、"復活の秘策"を考えました 無機質な雑貨屋になってしまわないために…

東洋経済オンライン / 2024年1月20日 18時30分

いま、おもむろにヴィレヴァンの公式ホームページで、イオンモールに入っているヴィレヴァンの数を数えると、全店舗数の半数を超えている(約180店舗)。また、イオンモールに限らず、ショッピングモールに入っているヴィレヴァンの数を数えると、全店舗数に占める数は非常に大きい。

ショッピングモールへの出店は、モール側の取り決めの影響を受けるだろう。だから、必然的にヴィレヴァンが持ってきた「サブカル」空間が薄まってしまう。

②について指摘する声も多かった 。特に2011年あたりから、本社が主導してヴィレヴァンの店内に置かれているアダルト関連の商品が順次、撤去されはじめた。現在でも、多くの店ではアダルトグッズの取り扱いがなく、ヴィレヴァンのオンラインサイトでの取り扱いがあるのみだ(ちなみに、商品カテゴリは「秘宝館」である)。

また、いわゆる「エロ」だけではなく、「グロ」や「ナンセンス」的な商品についても、その取り扱いがほとんど無くなってしまったことを憂う声が多かった。

例えばカルト宗教の本や、90年代、若者に絶大な人気を集めた『完全自殺マニュアル』など、いわゆる「90年代サブカル」と呼ばれる系統に属するカルチャーでよく読まれていた書籍の取り扱いもあったらしい。初期のヴィレヴァンに迫った『菊地くんの本屋』の定番商品リストには、90年代鬼畜系カルチャーを先導した青山正明が書いた『危ない薬』も書かれている。

①と②は連動していて、ヴィレヴァンからある種の「毒」や「尖り」が無くなっていった、というのがSNSでよく見られた意見である。

じゃあ、どうすればいいんだ?

SNSでのさまざまな感想を見ていると、人々がヴィレヴァンに求めている/求めていたものがなんとなく見えてくる。

サブカルチャーについての著作を多く発表した劇作家の宮沢章夫は「サブカルチャーとは『毒』である」と書いた。イオンモールへの出店と共に、ヴィレヴァンが失ってしまったのは、この「毒」だったのかもしれない。かつてヴィレヴァンに通った中高生にとっては、自分の知らない世界を見にいくような、背伸びと背徳感と高揚感が入り混じった、なんとも言えない感覚があったはずだ。

だとすれば、ヴィレヴァンがその魅力をもう一度取り戻すためにできることといえば、かつてのヴィレヴァンが持っていた「毒」を取り戻すことかもしれない。

もちろん、前回書いたように、現代ではそうした「毒」を押し出すような「押し付けがましさ」自体が歓迎されない傾向にある。しかし、一方で、そうした「毒」を望む人が存在することも確かだ。

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