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拝啓ヴィレヴァン様、"復活の秘策"を考えました 無機質な雑貨屋になってしまわないために…

東洋経済オンライン / 2024年1月20日 18時30分

そうであるならば、ターゲティングを曖昧にさせず、そうした「毒」をどうにかして取り戻すことが、結局はヴィレヴァンが復活するために必要なのではないだろうか。「マス」は狙えないかもしれないが、ヴィレヴァンが狙うのはそこしかないのではないか。

ただし、そのような議論は、現在のヴィレヴァンにかつて置いてあった商品をただ置けばよい、といった単純なことではない。例えば、90年代鬼畜系カルチャーが生み出した諸商品は、もはや過激すぎる。少なくとも、イオン内の店舗に置くのは現実的ではないだろう。商品側も、もっと奥まった場所に置いてほしいはずだ。

つまり、そこではなんらかの戦略が必要になる。

では、どうすればヴィレヴァンは現代に即した形で「毒」を取り戻せるのだろう。

アニメイトの例に学ぶと…

ちょっとここで寄り道したいのが、同じ「サブカル」を扱う企業である「アニメイト」だ。アニメイトは1983年に開店し、現在では世界最大のアニメショップになっていった。アニメイトの現在の盛り上がりを作っている一つの要素は、2000年に開店した池袋本店だ。

池袋本店の成功が、池袋の「乙女ロード」を作ったともいわれるが、そこで行われたのは、徹底してその店に訪れた人のニーズに合致するような施策を行ったことだ。その中でストア内でのイベントなどが行われることになった。池袋本店で行われたこの施策は、その後、全国のアニメイトに広がっていく。「池袋」という特定の場所に集った人々に対して行った戦略が全国に広がっていったのだ。

アニメイトの場合、誰を対象にするビジネスなのかが明確だった。これは、マーケターの西口一希が『顧客起点マーケティング』の中で述べることだが、マーケティングを行うときには、1000人のようなマスを対象にしなくとも、むしろ1人の好みを徹底的に調査し、それに合致する戦略を練った方がうまくいく場合がある。ターゲットが明確であればあるほどいいわけだ。アニメイトはその意味で、池袋という土地に根差したやり方で成功した。

ターゲティングを絞るときに、まず、徹底して土地に根ざすこと。それがうまくいけば、勇気を持って広げること。アニメイトの例はその重要性を教えてくれる。

実は、ヴィレヴァンはこうした土地に根差した経営を行いやすい。ヴィレヴァンのチェーンストアとしての特徴は、店舗の店長にかなりの権限が与えられていることだ。ビジネス用語では「権限委譲」と呼ばれている。

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