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「部分最適」でDXに失敗する企業に必要な視点 成長と競争優位獲得を実現する「再配線」とは

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 10時0分

DXはデジタルだけの問題ではない。事業全体を再定義し、ビジネスを「再配線(Rewired)」する必要がある(写真:metamorworks / PIXTA)

いま、多くの企業でDXの重要性が叫ばれているが、なかなか推進できない、あるいは導入に失敗するケースが後を絶たない。その原因の多くは、実はデジタル以前の問題だ。過去数十年の間に複雑に絡み合い、いまや古くなってしまった組織や体制をそのままにしながら、部分最適でDXを導入してもうまく機能するはずがない。『マッキンゼー REWIRED デジタルとAI時代を勝ち抜く企業変革の実践書』を監訳した黒川通彦氏が、デジタル時代に求められる抜本的変革の考え方――Rewired――について解説する。

日本企業に求められる抜本変革

スパゲティのように絡み合ったシステム、組織、ガバナンス、業務プロセス。それにより、低いままの業務生産性、減らない会議や会議資料の作成、社内の根回しや調整。そのことがもたらす、上がらない業績、上がらない給料……。

【図表】データ品質を評価する9つの基準

「この状態のままで20年後も乗り越えられるだろうか?」
「これまでのビジネスモデルや組織体制で、あと何年続けられるのか?」 

こうした悩みを持つ日本の経営者やビジネスパーソンは少なくない。そして、これを解決する手段として我々マッキンゼーが重視しているのが「Rewired」である。Re(=再び)Wired(=配線)とは「ビジネスの配線をし直す」ことである。過去数十年で複雑に絡み合った問題を整理し、正しい順序でつなぎ直し、より早く、より大きな付加価値を生み出せる組織に変えることを意味する。

Rewiredは、これまで多くの企業で実行されていたような部分最適型アプローチではない。他社事例の局所的適用では抜本変革にはならないからである。

我々がRewiredで提唱しているのは、ドメインベースの抜本的な変革だ。事業ドメイン丸ごとを再定義し、根本から配線し直す。もしくは製造、営業、コーポレートなど、機能組織丸ごとを配線し直す。このような大きな視点から、自社の強み弱みを大局的に見極め、強みをより強化し、生み出す価値を最大化するためのビジョンと青図を描くところをやり直すのである。

本稿ではDXを例に、Rewiredのアプローチについて解説する。というのもどの企業もDXの必要性を認識して進めようとしているが、古く絡み合った組織や体制をそのままに他社のデジタル化事例を局所的に適用しようとし、進まない、あるいは失敗に終わるケースが散見されるからだ。DXの推進においてRewiredは必要不可分である。

低下する日本の競争力とDXの現状

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