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「部分最適」でDXに失敗する企業に必要な視点 成長と競争優位獲得を実現する「再配線」とは

東洋経済オンライン / 2024年1月22日 10時0分

次に、データのRewiredについて見てみよう。

日本企業がDXに取り組む際、データ整備はしばしばストレスの原因となっている。デジタルソリューション開発を行う時間のうち、最大70%がデータの整理や統合に費やされていたというケースも存在する。これらの問題の多くはレガシーかつサイロ化したシステムに起因するため、DXに取り掛かる企業はデータを簡単に利用、再利用するための「データアーキテクチャの構築」が不可欠である。

このゴールを達成するために中心的な役割を果たすのがデータプロダクトだ。これは、チームやアプリケーションを問わず組織全体で容易に利用可能な、集約およびパッケージ化されたデータ要素のセットである。加えて、DXの為にすべてのデータの整理を行うには膨大な時間がかかるため、データドメイン内で優先順位を特定すべきである。例えば、顧客データ内には、顧客名、住所、クレジットカード番号、家族構成など、数百から数千のデータ要素がある。自社の狙ったユースケースを達成するための最も重要な要素を特定しリソースの大部分を集中する必要がある。

なお、ソリューションに必要なデータの品質が低いことは珍しくないが、データを修正または整理する前に、データを徹底的に評価しどこに病巣があるかを特定する必要がある。

これらのステップを適切に実行することで、不正確な値による誤った演算結果や、組織間で異なるデータ定義に起因する誤ったデータ利用、データ統合の遅延による報告遅れなど、さまざまな問題を発見できる。

導入だけでなく普及させることがカギ

日々、企業が直面している最も大きな挑戦は、開発・導入したソリューションを顧客や従業員に日々の活動の一部で導入してもらい、その顧客、市場、または組織全体に、それぞれの課題を乗り越えながら「普及」させることである。

普及とは、ソリューションの導入を異なる環境で複製し、企業全体に影響をもたらすことである。複製が必要な典型例としては、生産施設全体への普及、異なる地域への普及、異なる顧客セグメントへの普及、または異なる組織への普及などがある。普及においては、すべてのユニットに展開するための最も効果的な複製アプローチを設計し、異なるユニットの特定事情に対応するためにデジタルソリューションを効率的に再利用、もしくは適応するようカスタマイズすることが求められる。

そして再利用のメリットを得るためには、デジタルとAIのソリューションをモジュールやアセットとしてパッケージ化する必要がある。かつ、各デジタルソリューションが異なる再利用レベルを持つことを認識する必要がある。効果的なアセット化のためには、「プロセス」「テクノロジー」「人材」アセットのレシピを社内に蓄積し、効率的かつ迅速な展開を実現するために再利用する。効果的な普及ができるかは、どれだけ多くのソリューションが再利用できるかに依存している。

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