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生成AIの「無断学習」を規制するうえでの論点 強く規制することにはデメリットも

東洋経済オンライン / 2024年1月23日 17時0分

奇抜なアイディアを思いついたプログラミングの初心者が、世界的に活用されるアプリ・ソフトウェアをつくってしまうかもしれません。音楽、グラフィック、シナリオなどのすべてを個人が担当して、ハイクオリティなゲームをつくることもできるでしょう。アニメや映画のような集団で製作される作品も、一人でつくれるようになるかもしれません。

長期的には、生成AIの助けを借りて作成されたコンテンツが当たり前となった、新しいプラットフォームのようなものが出てくる可能性もあります。

生成AIによる生産性の向上は、多くの人が納得している事実だと思います。言語生成AIなどを日々の業務に組み込むことで、今までは人間がやっていた多くのことが自動化され、より短時間でこなせるようになります。本来は人間が行っていた作業がなくなるわけですから、人間は別の活動に時間を割けるようになります。

そしてそれは、人間にしかできない活動になるでしょう。

業務であれば、ルーチン的な事務作業や資料作成ではなく、根本的な事業改革のアイディアを生み出すことや、社会や人類の未来に対してどう貢献すべきかを考え直すことなどです。

生活レベルで言えば、人付き合いに割く時間や、個人が「楽しめる」時間を増やすことでしょう。それはゲームでも動画鑑賞でも読書でもなんでもいいはずです。AIは人間の代わりに仕事をやってくれますが、人間の代わりに楽しむことはできません。

また、労働の義務がなく自由な思索に集中できたために、古代ギリシャの哲学者が革新的な思想を生み出せた歴史や、資産家に保護されることによって、ルネサンス期の文化人が活躍できた歴史などが示すように、「自由な時間」は人間が創造性や独創性を発揮させ、新たな発見や発明、芸術的な表現を創出する源泉となります。

ここからは、生成AIに関して巻き起こっている議論を掘り下げたいと思います。

生成AIは学習データを無断で使用していいのか?

生成AIと呼ばれているAIのほとんどは、学習のために膨大なデータを必要とします。もっとも、これは生成AIに限った話ではなく、われわれが普段何気なく使っているサービスの背後にある、生成を目的としないAIでも同じことです。

これは、現在の人工知能技術の主流で生成AIの基盤技術となっている機械学習・ディープラーニングの本質的な性質が、「膨大なデータから学習することで、とてつもない性能を発揮できる」ことに起因します。これらのAIを運用しているのは、Google、Amazon、Meta、Appleのように、インターネット上で多くのデータを収集している企業、あるいはWebのクローリングによってデータを収集しているOpenAI社や大学のような組織です。

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