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「こども誰でも通園制度」理想実現までの高い壁 利用枠「月10時間以上」だが現場は保育士不足

東洋経済オンライン / 2024年1月23日 7時0分

「こども誰でも通園制度」は本当に誰でも利用できる子育て支援制度になるか?(写真:Ushico / PIXTA)

昨年、岸田内閣が異次元の少子化対策の一環として打ち出した「こども誰でも通園制度」。取りあえず2024年度は試行事業ということで、こども家庭庁はおよそ150の自治体での実施を想定して公募を行っている。制度を拡充して本格実施にこぎつけるのは、2026年度になる見通しだ。

【画像で見る】全国でモデル事業の検証も進んでいるが……

「働いていなくても子どもを預けられる!」と注目を集めた本制度だが、本当に誰でも利用できる制度になるのだろうか。

専業主婦家庭の子育て支援として

現在まとまっている案によれば、「こども誰でも通園制度」は、認可保育園や認定こども園などを利用していない生後6カ月から3歳未満の子どもを対象に、保護者の就労の有無などは問わず保育を利用できる制度として計画されている。

試行事業では「月10時間」が利用時間の上限となるが、先日、2026年度からの本格実施では「月10時間以上で内閣府令で定める時間」とすることが発表された。

「専業主婦家庭の子育て支援策」と言えるが、実は、保護者の就労等を要件としない公的な預かりサービスとしてすでに一時預かり事業があり、多くの自治体が実施している。

「保育園を考える親の会」が実施する都市部の調査「100都市保育力充実度チェック」2023年度版を見ると、調査対象の100市区のすべてが一時預かり事業を実施していた。

一時預かり事業は、利用を保護者の病気などの緊急時に限っている自治体もあるが、所用やリフレッシュのための枠を設けている自治体も多い。

1時間400〜500円、1日預けても1000〜2000円程度の安い料金設定が多く、人気が高い施設では、事前受付開始日にすぐに枠が埋まってしまうという。認可保育園や認定こども園などのほか、子育て支援センターなどでも行われている。

これら既存の一時預かり事業と「こども誰でも通園制度」はどう違うのだろう。

全国でいつでもどこでも利用できる制度?

「こども誰でも通園制度」の保育料は、一時預かり事業と同程度の費用になることが予定されている。

また、利用申し込みにあたっては、利用時間の管理が必要になるため、システムを通してスマホやパソコンなどで申し込むことになる。この点は、それぞれの施設で受け付け事務を行っていた一時預かり事業とは異なる。

実は制度として、大きく違っている点がひとつある。それは、一時預かり事業は各自治体が選択して実施する補助金事業であるのに対して、「こども誰でも通園制度」は給付制度として実施される点だ。

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