肥満症治療薬「ウゴービ」保険適用される人の条件 週に1回「使い捨て注射器」を自分でお腹に刺す
東洋経済オンライン / 2024年1月23日 11時40分
話題の肥満症治療薬「ウゴービ」が2月22日に保険適用の対象となる。ウゴービとはどのような薬なのか、どんな人が保険適用になるのか、また問題点について解説する。
ウゴービとはどんなもの?
ウゴービは週に1回、自分で皮下に注射するディスポーザブルの注射器を用いる。注射器といっても、先端に針のついた筒状の自動注入器であり、キャップを外して、アルコール綿で消毒したお腹の皮膚に筒を突き立てるだけで自動的に注射される。うまく注射できるか心配する必要はない。
最初は0.25mg製剤で4週間治療し、次は0.5mg→1.0mg→1.7mg→2.4mgと4週おきにステップアップし、2.4mgで週1回の治療を続けることとなる。
日本を含む東アジアで実施された臨床試験では、治療開始後68週の時点で、ウゴービ治療群では体重が11.4kg、率にして13.2%も減少した。対してプラセボ(偽薬)群での体重減少は1.7kg、2.1%であり、ウゴービの大きな減量効果が示されている。体重以外では、治療群はウエストが11cm細くなり、血圧は11mmHgほど低下し、血糖値も低下した。
薬物によらない肥満治療として、特定保健指導でのダイエット効果と比較する。いわゆるメタボ健診をおこない、対象者には食事や運動を指導する特定保健指導の結果をまとめた研究報告によると体重は1.3kg、BMIは0.45kg/㎡だけ減少する。1年かけて、たったこれだけだ。対象集団が異なるので直接比較はできないが、ウゴービの減量効果がいかに画期的か、理解いただけるはずだ。
ウゴービとオゼンピック、リベルサス(2型糖尿病治療薬)は、同じセマグルチドという成分を含む薬。これまで、日本国内で肥満を治療するにはオゼンピックやリベルサスを適応外使用(2型糖尿病でない人の治療にも使うこと)するしか方法がなかった。
適応外使用というと、悪い事のように聞こえるかもしれないが、それは誤解だ。どの薬剤を治療に用いるかは薬効に基づいて医師の裁量に任されている。医学や医療の進歩に、薬剤の承認という行政手続きは必ず遅れるからだ。ただし、健康保険が支払いを認めるか否かはケースバイケースだ。適応外使用であっても、海外で多くの使用実績があり、論文などで効果が報告され、標準的な治療薬として認められているような薬剤は、適応外使用でも健康保険での支払いが受けられる場合がある。
本来は2型糖尿病の治療薬であるオゼンピックやリベルサスを肥満症の治療に用いる場合、適応外使用となる。私は自費で治療を提供してきたし、多くの医師もそうしているはずだ。今後、ウゴービの登場によって、正々堂々と肥満症の治療にセマグルチドを使って、保険請求できるようになる。経済的理由により肥満の治療に手の届かなかった人々にとって福音だ。
ウゴービを使えるのはどんな人?
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