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日本の大企業が「辞めた人」活用し始めた納得理由 ネットワークを作ることで得られるメリットとは?

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 16時0分

石山先生は、個人が会社の外で学びを得る「越境学習」、個人が主体的に仕事をつくっていくプロセスである「ジョブクラフティング」、企業がどう社員を活かすかの「タレントマネジメント」などを主軸に研究活動をされています。

「そもそも戦前の日本は、転職が多かった」と語る石山先生は、長期雇用が中心の日本的雇用システムは、和を尊ぶという日本の文化や国民性が原因ではないと言います。

「大正時代は、渡り職工などと呼ばれる労働者が存在して、会社を渡り歩いて技術を磨いていくことが前向きに捉えられていました。その時代の流動性は大変高く、長期雇用は一般的ではありませんでした」と、長期雇用や年功序列などのいわゆる日本的雇用システムの成立は、戦後以降で比較的新しいものだということを教えてくれました。

「経営者によっては、社員が離職することを否定的に捉えず、それを個人と組織の新しい関係性だと捉えている企業もある」と石山先生は続けます。

一度辞めた社員が再入社する「出戻り社員」を制度化している企業も多く見受けられるようになりました。いったん会社を離れた人たちを「アルムナイ」と呼び、良好な関係性を維持している企業も増えています。

また、海外留学の仕組みとして、業務に直結するような学びでなかったとしても、個人の学びを尊重し留学できるようになっている企業もあります。その際個人で留学先の国や大学、専攻を自由に選べるのが特徴的です。

このように、業務に直結する学びではないかもしれないが、人間的成長を大切にし、簡単に数値化できるものではなくても評価している企業もあるのです。

「ワーク」キャリアから「ライフ」キャリアへ

「数値にできないから価値がないとする企業と、数値にはできないが価値を見出だせる企業とに分かれてしまっている」という石山先生。

効率性に重きを置いているのか、数値には見えないことを評価する企業であるのかによって、キャリアブレイクのような取り組みの受け入れられ方が変わりそうです。

キャリアという言葉の受け取り方について、ずれがあるという指摘もしてくれました。

「その根底に日本では、キャリアとは職業である、というワークキャリアを中心とした捉え方が根強いことがあると思います。本来は、キャリアとは家庭生活、地域生活、市民生活など多くのライフイベントを含むライフ(人生)キャリアとして考えることが望ましいでしょう。

たとえば大学のキャリア教育もライフキャリアを中心とするものへと変わってきています。しかしいまだに、ワークキャリアや就活支援だけを見据えたキャリア教育が存在することも否定できません。まだまだライフキャリアの浸透が日本では十分でないように思います」

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