1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

冷ややか目線と期待、「ソニー・ホンダ」が貫く我流 1年の取り組みで見えた実験場としてのクルマ

東洋経済オンライン / 2024年1月24日 7時40分

ADAS向けだけでも、業界トップクラスの能力を持つSoCが2つ使われる。45個のセンサーが同時に並行して読み取っている膨大な情報を受け止めるためだ。

「AFEELAは当初から、高速道路など特定条件下での自動運転機能である“レベル 3”のADASを実現し、それ以外の市街地などでも運転支援機能としては最高クラスの”レベル 2+”を実現することを前提に開発してきました。そのために必要な資源は徹底して投入しています」(川西社長)

状況識別にAIの機械学習を活用

周囲の状況を判別し、どのように運転するかについて、当初はセンサーからの情報を基に”ルール”で判別する手法を用いていたが、いくら多くのセンサーを使っても、明るさや光源の方向、天候や路面状況、路肩やレーンを示す特徴などは、想定条件から逸脱することは避けられない。

そこでAFEELAには、ニューラルネットワーク処理を強化した半導体を搭載し、機械学習を進めることで状況を識別する精度を上げていくようだ。

雑多な情報を有益な情報へと変えることは、機械学習処理が最も得意とする応用領域だ。ルールベースでは、情報過多が誤動作を引き出すことも少なくないため、テスラのようにイメージセンサーだけに絞るほうがよい結果を得やすいこともある。しかしAI処理ならば、センサーからの情報は多ければ多いほど高い精度が得られる。

川西社長への取材は、SHMの誕生からCES 2023、その後の複数回のインタビューや今回のCESなどで少しずつ積み重ねてきたものだが、一連の取材の中でのメッセージには一貫性がある。

それはここまでに書いてきたように、SDVとしての価値を最大限に引き出すため、搭載する処理回路やセンサーの選定で”上限”を定めないこと。天井を高くして、開発者がより高みを目指せる基盤にすることが1つ。

もう1つは、その基盤で安全・安心を築くことに加えて、SDVとしてのセンサー、情報処理のプラットフォームをエンターテインメント”にも”活用し、SHM自身がそのプラットフォーム上でさまざまなソフトウェアを作成、追加するだけでなく、パートナー企業にも開放していくという考え方だ。

CES 2024では、川西社長がプレステ5のコントローラーでAFEELAをステージに呼び出すデモを行った。「ソフトウェアを書けばそういうことができる」(川西社長)ことを視覚的に見せたもので、コントローラーでのリモコン操作を主要機能に位置付けているわけではもちろんない。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください