元CAが指摘、ペットと同伴搭乗「非常時の問題点」 アメリカ消防局にはペット救助のノウハウも
東洋経済オンライン / 2024年1月27日 12時20分
JALの元キャビンアテンダントのAさんは、ペット同伴搭乗をさせた場合の非常時に想定されることについて、下記のように指摘します。
■ペットを機内に同伴できても、非常時に連れて脱出することはできない
■「置き去りにできない」と連れだそうとする乗客が出てきた場合、自身の避難の遅れや他の乗客の脱出の妨げになる
■「ペットを連れていけないなら、私も避難しない」という乗客が出てきた場合、乗務員も全員機内に残ることになる
■脱出時は急降下するスライダーを滑り降りる必要があり、何か持っていては乗客の安全を確保できない
■ペットケージを持って降りた場合、その角などでスライダーが破損すれば、他の乗客が脱出できなくなる
■ペットを抱いて降りた場合、ペットの爪でスライダーが破損すれば、他の乗客が脱出できなくなる
■脱出のためにペットをペットケージから出した場合、ペットが興奮して暴れる、乗客を噛む、逃走するなどの2次的な事故が起これば、乗客の脱出の妨げになる
もちろん、ペットは飼い主にとって大切な“家族の一員”で、非常時に連れて脱出できないのは耐えがたいつらさです。しかし、「あくまで人命が最優先」であり、同伴搭乗でもそれが変わることはありません。
ルールを無視した行動を飼い主がした場合、2次的な事故で多数の犠牲者が出る可能性もあります。
今回の事故で2匹の命を助けられなかったのは本当に無念ですが、人命救助を最優先して、迅速的確にJALの乗務員が行動したからこそ、全員脱出を実現できたのでしょう。
同乗搭乗はペットにとって快適か
そもそも、ペットとの同伴搭乗は動物にとって快適なのでしょうか。
ソラシドエアの機内環境の説明を要約すると、「飛行中の客室内の気圧は地上より低く、離陸・着陸時には気圧の変化が起こる。機内温度はエアコンで調整されているが、湿度は20%まで低下することも。離陸・着陸時や気流の悪いところでは機体が大きく揺れる」とされています。
犬や猫は、温度、湿度、気圧の変化、また音、揺れ、においなどの影響を受けやすいため、多くの航空会社がそのリスクが高いとされるパグやブルドッグなどの短頭種の搭載を許可していません。しかし短頭種に限らず、体が小さい犬や猫は人間以上に影響を受けやすいので、決して良い環境とはいえないのです。
同伴搭乗が可能な航空会社の多くは、座席をエコノミークラスと指定していて、ペットケージに入った犬や猫を座席の下に置くことになります。
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