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都市部でも深刻化「買い物弱者」をどう救うか? セーフティネットとしての買い物を考える

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 12時0分

A、Bコースとも参加費は500円だが、この500円は「Aコープおおの」での買い物券との交換が可能だ。

豊後大野市まちづくり推進課によると、今回の第2弾「おでかけま〜す」の内容は、2022年11月24日に実施した第1弾での実績を検証した結果を受けてのものだという。

第1弾は、周辺住民があいのりタクシーや公共交通で移動し、地域拠点である土師公民館でさまざまなサービスを受けたり会に参加できたりするものだった。

<第1弾「おでかけま〜す」土師公民館での催し例>
■マイナンバー相談会
■スマートフォンに関する相談会
■簡単なゲームなどを楽しむお茶会
■おでかけ理容室
■おでかけ郵便局
■惣菜などの移動販売
■薬剤師によるオンライン服薬指導


■移動診察車での医師によるオンライン診療(医療MaaS)

この中でも特に医療MaaSについては、利用した3人中2人が「満足している、次回も利用したい」「診療を受ける機会が増える」、また「外出する機会が増える」と答えており、満足度が高かったという。

また、参加した医師からは「思ったより使いやすい印象」「(総合的に判断して)オンライン診療はとてもよい」という意見があったようだ。

だが、課題もある。医療MaaSに関する病院側との日程調整や、オンライン診療における診療報酬が通常診療より低いことなどだ。

そのため、医療MaaSと「おでかけま〜す」とは一旦、切り離して考えることになった。医療MaaSは、大分県商工観光労働部先端技術挑戦課による実証実験だ。

移動販売についても、事業者の収支面で継続的に行うことの難しさがある。結果的に、第2弾では簡易な方法での遠隔での買い物と実店舗での買い物支援という、買い物弱者への対策が主体となったというわけだ。

では、なぜ豊後大野市は「おでかけま〜す」という、官学連携の交通利用促進事業を行うに至ったのか。その背景には、同市がこれまで進めてきた交通に関する取り組みの変化がある。

10年前の高齢者と今の高齢者は違う

1960年代半ばに時計の針を戻すと、この地域での基礎自治体が、九州でいち早く過疎地での交通手段について検討していた。その後、大野郡5町2村が合併した現在の豊後大野市になってからも、地域交通への対策を重視してきたという経緯がある。

現在、市内を走るコミュニティバスは20台あり、そのうち15台をスクールバスと兼用としている。車両は市が所有し、自家用有償旅客運送を用いて運用を地元の交通事業者に委託している形だ。ドライバーは二種免許所持者が担うが、今後はドライバー不足へのさまざまな対応が必須だという。

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