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都市部でも深刻化「買い物弱者」をどう救うか? セーフティネットとしての買い物を考える

東洋経済オンライン / 2024年1月29日 12時0分

コミュニティバスの仕組みについても、そろそろ見直す時期ではないかという感触を市では持っている。「10年ほど前までは、高齢者でも自宅近くの停留所まで歩けていたが、最近はそれも難しい人が増えてきた」(まちづくり推進課)という状況だからだ。

こうした厳しい社会状況に直面すると、一般的に基礎自治体では地域住民がドライバーをする自家用有償旅客運送、また利用者の自宅まで効率的な運行を行う、AI(人工知能)オンデマンド交通などが検討されることがある。

大野豊後市の場合、そうした中で2013年から大分大学大井研究室と連携した集落調査を実施し、定常的にさまざまな社会実証を始めたのだ。

集落調査は大分大学の学生が行い、地域住民の多くが学生を自分の生活の中で受け入れていくことで、「困っていること」の詳細を徐々に話してくれるようになったという。

ひとことで「移動に困っている」とか「買い物に困っている」といっても、各家庭の事情は当然違いがある。

学生が地域住民との対話を進める中で、「なにがどう困っているのか?」「将来に対する不安という意味合いが強く、困っているのか?」といった本音が出てくることも少なくない。

地元のニーズを人と人とのコミュニケーションの中からしっかり把握する、こうした取り組みは2023年で10期目となった。豊後大野市と大井研究室との連携による知見を生かした今回の「おでかけま〜す」第2弾は、複雑なシステムの構築や多額のコストを必要としない「すぐ実用化できる」地域社会における「現実解」だと言えるだろう。

東京でも「移動販売」の需要が高まる

買い物弱者は、地方部や山間部特有の社会課題ではない。最近「都心でも移動販売車が増えている」という報道を見かけることがある。

その実態を調べようと情報収集してみると、東京都が「都営住宅における買物弱者支援事業」を行っていることがわかった。

同事業を担当する、東京都住宅政策本部の都営住宅経営部指導管理課に事業の全容について聞いた。すると、事業開始は2017年12月、多摩市の愛宕地区が第1号だという。

その後、年度を追うごとに実施総数は、3件、11件、21件、52件、70件……と右肩上がりを続け、直近の2023年12月末時点では103件に。このうち23区内が3分の2を占め、件数の多い順に足立区(25件)、北区(9件)、世田谷区(7件)、板橋区(7件)、港区(5件)、荒川区(5件)などとなっている。

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